活動報告・レポート
2016年12月7日(水)
観光についての提言

東京から来た皆さんに観光の取り組みに関しての意見を聞かせてもらいました。人が歩いて街を散策するのは20分が限界だそうです。自転車で移動するのも20分が限度だと聞きました。JR和歌山駅を降りて、JR和歌山駅から和歌山城に向かうけやき通りを歩いたのですが、20分で和歌山城に到着しないので諦めたそうです。20分というと2ブロックの移動程度と考えると分かり易くなります。

「和歌山市の観光スポットは一つひとつの距離が遠いので歩いて移動して回ることは難しい位置にあります」という意見です。

ですからローカルエリアよりも、もっと絞ってマイクロエリアで観光スポットをマッピングすることが大切になります。観光の拠点となるのがホテルで、ホテルを中心にして観光地と飲食店、カフェ、ショッピング施設などを配置することがマイクロエリア的な街づくりです。その中で目的地を作ることが観光施策で、「通り過ぎたらもったいないスポット」や「一回だけだともったいないエリア」を作ることが鍵となります。

ですからホテルから離れている場所、例えばかつて栄えた場所を再生しても観光客はそこに行きません。その理由は観光客が行こうと思うのは、ホテルなどの拠点から歩いて20分のエリアだからです。

それを破ろうとすれば、歩行、自転車ではなくてレンタカーが観光の道具となります。観光地の移動手段としてレンタカーを組み合わせて、レンタカー店に行くガイドマップのようなツールを配置することが必要となります。

こうすることで宿泊地が観光地になります。街を歩いて巡る観光地作りを志向している市はこんなマイクロエリアを数か所作っています。

また観光案内用のチラシは事前に観光客に渡っている必要があります。観光地に来てから入手しても遅いのです。最近の観光は旅前という準備の時間でどこを訪れるかを決定しルートを設定しています。現地に入った旅中で決めるのは食事場所ですから、現地で配布するのは食事や買い物ができるスポットのチラシです。和歌山市内に街中周遊マップを置いていますが、こんな観光ガイドの冊子は事前に観光客の手元に渡っている仕組みが必要となります。今ならSNSを活用すれば観光スポットの情報をどこにでも届けることが出来ますから、今まで以上にその活用が必要です。

初めて和歌山市に来て感動したことを教えてもらいました。

  1. 和歌山市役所の14階から見た和歌山城。圧巻の光景で感動したと話してくれました。和歌山城は近くで見るのも良いのですが、全景を眺められる市役所の14階からの光景が素晴らしいということで、「この場所を活用しないともったいない」という話です。天守閣と同じ位置で眺められる場所を観光スポットにすれば良いということです。幸い市役所の14階にはレストランがありますから、和歌山城を向いた席を観光客用にすれば良いと思います。
  2. 食事がおいしいこと。新鮮でおいしい食事を食べられることは、他にない魅力だと話してくれました。「食べ物がおいしい和歌山市を売り物にすれば良いと思います」という意見です。和歌山市内で食べた食事について「おいしくてびっくりした」という感想を聞かせてもらいました。
  3. 小さな観光スポットが点在していること。目指している観光場所に行った後、もう一か所行ってみようと思える場所を集めた観光案内があれば良いということです。これはチラシなどの紙媒体よりもインターネットに掲載しておくことが望ましいという意見です。

首都圏から見た和歌山市の観光の課題は、情報発信力が弱いことです。伊勢神宮の遷宮は話題になっていましたが、高野山開創1200年祭は話題になっていなかったようです。「とても良い企画なのにもったいないと思います。知っていたら観光客はもっと来ていたと思います」と話してくれました。情報発信力を強化することも課題です。

夜の食事を食べた後に行くお店がないことも課題として伝えてくれました。午後10時以降に行きたいと思えるお店が和歌山市には少ないようです。これは夜賑わっている他の都市に学ぶ必要があります。知らない場所なので、初めて行っても安心できるお店であることが一番重要です。ナイトマップがあれば、地元の素材を使って食事を提供してくれるだとか、英語が話せるスタッフがいるなどの情報を記載しておくことで、外国人観光客も来てもらえる環境となります。外国人観光客も、初めて行く場所、特に夜のお店は不安だと思っているようです。

観光地のハード整備だけでは観光客が来てくれないこともあります。おいしい食べ物のお店がある、お買い物ができる、おしゃれなカフェがある、和歌山県の全てのお土産が買えるお店がある。そんな場所にすることが観光客に来てもらえる要素となります。

観光施策について楽しく、また実践できる内容の話をすることができました。