世界津波の日が11月5日であり、11月の今日、津波防災を考えるため「稲むらの火の館」に研修会に行ってきました。何度か訪問したことがありますが、日常から防災を意識しておくためには、時々、この施設を訪れることは有効だと思います。そこで10人ほどで研修会を行ったものです。
ここを訪れて津波被害の想定や濱口梧陵の稲むらの火の時の行動についての映像を見ましたが、改めて日頃から災害に備えておくこと、防災意識を維持しておくこと、小さな異変に気付くこと、みんなで助け合うことの大切さを感じました。日頃、意識していないことや、備えていないことを、突然の災害が発生した時に行動に移すことはできません。特に家族が学校や会社に行っている昼間は、集合して避難することはできませんから、自宅や学校、会社などの近くの避難場所を確認しておく必要があります。連絡を取り合わなくても「絶対に避難している」と思える信頼関係が大切なのです。
災害発生時は、自らが行動の率先者であることは意識しておきたいことです。人が助けてくれる、行政の支援を待つのではなくて、自分が行動を起こすことが行動率先者だと言えます。
安政地震での津波襲来の時に広村の村人を高台に誘導して命を救ったのが、「稲むらの火の館」の主人公の濱口梧陵です。今日も各地から「稲むらの火の館」にたくさんの人が訪れていました。この光景を見ると、以前よりも津波防災意識が高まっていると思います。東日本大震災や熊本地震などの経験や、濱口梧陵が行動を起こした日が世界津波の日に定められたことによるものからだと思います。防災意識の高い人が、日常から津波防災を意識しておくための行動をしていることが分かります。
そしてここで学べることは、自分だけが助かれば良いと言う考えではなく、みんなが助かるような行動をすることです。安政地震が発生した時の濱口梧陵の行動は、自分が異変に気付き、逃げるのではなく海岸に出て津波の到来を予感し、まず村人に避難を呼びかけて逃がしています。その時に取った行動は、当時は大切なものだった「稲むら」に火を放ち、村人の避難を誘導したことにあります。
そして家屋を失い、資産も失った村人を助けるためにお米を配り、所得を得るために仕事が必要だと考えて、広村に津波を防ぐための堤防を築く工事を行いました。この堤防工事の事業主は濱口梧陵ですから、まさに私財で広村の人を守り、将来の津波到来に備えたのです。
今でいう共助の考え方に基づいた行動であり、自分だけが助かれば良いという発想は全くありません。津波被害を受けた後、村としてどう生きていくか、どうすれば村を存続させられるか、村の将来の安全を考えた時に堤防が必要だと考えた先見性などを備えていたのが濱口梧陵だったのです。
今日「稲むらの火の館」を訪れたことで、改めて濱口梧陵の功績を認識できましたし、津波から逃げるためには、日頃から避難行動ができるように備えておくことや、防災意識を持っておくことを学びました。
一緒に研修会に参加した皆さんからも「素晴らしい映像で学ぶことができました」、「私はここに来るのが三回目ですが、いつも発見があります」、「和歌山県にこの施設があるので、いつでも研修に来ることができることは嬉しいことです」などの意見を聞かせてくれました。防災意識を高められた研修会となりました。
- バイオマス発電についての研修を行いました。和歌山県では再生可能エネルギーの導入をエネルギー政策にしていますから、この政策が実現できるよう行動しています。
- 夕方からは業界を超えた懇談会に参加しました。仕事を創出するための取り組みや将来を担う人材育成についても話し合いました。