活動報告・レポート
2016年10月19日(水)
津波避難シェルター
津波避難シェルター
津波避難シェルター

建設委員会の視察で高知県室戸市を訪ねました。今回の目的は高知県の津波対策を調査するものです。南海トラフの巨大地震に備えての対策が進んでいることから、先進地事例の現地調査を行うことにしたものです。

和歌山県も南海トラフの巨大地震対策は進んでいますが、県によって考え方や対策が異なります。防災対策に関しての違う変え方を知ることは今後の対策推進に役立ちますから、高知県の取り組みを楽しみにしていました。

本日は、高知県室戸市にある津波避難シェルターの見学を行いました。平成28年8月に完成したばかりのこの施設は全国でここにだけしかない設備です。高知県が約3億円の予算で建設し、施設の運営は室戸市が担っています。高知県でもこの一箇所にあるだけの施設は、この地域が津波発生した場合約3分で到来する地域であり、高台に避難することができないことから、津波からの避難用シェルター設置をしています。津波発生から3分で第一波が到来しますが、地震による揺れが最長で3分間と推測さていることから、遠くの高い場所まで逃げ切ることはできません。そのため緊急避難的に津波避難シェルターの設置が必要と考え設置したようです。この地域は高齢者が多いため、地域の皆さんに安心を与える施設としての役割も果たしています。

収容人員は71名で、地域の皆さんが避難できるようになっています。入り口は二重の止水扉なので津波の波が入ってくることはありません。避難スペースは23.7メートルありますから、地域の皆さんが緊急避難するスペースは確保されています。

空気口には螺旋階段が設置されているので、非常時には100メートル上の高台に脱出すること可能です。

さてこの施設を使用して、地域の皆さんは津波からの避難訓練を行っているようです。せっかく設置しても日ごろから活用しないでいると、いざという場合に逃げることはできません。日ごろから近くに津波避難シェルターがあることを意識していくことで、緊急時に逃げ込むことができると思います。

説明においても、「津波からの避難方法はたくさん考えられますが、高知県ではバリエーションの一つとして津波避難シェルターを設置しました」と話してくれました。全ての地域に津波避難シェルターが適しているのではなく、津波避難タワーの設置もあれば、余裕がある地域では高台に避難することも避難方法です。高知県の取り組みは地域によって様々な対策が考えせられることを示してくれたように思います。

津波避難シェルター

さて実際に津波避難シェルターに入るという貴重な経験をいたしました。緊急避難するには十分なスペースが確保されていてトイレや洗面台も設置されています。ここに飲料水や保存食も保管されているので、一日、二日はここで生活することができます。そして約100段の螺旋階段を上ると高台に抜け出すことができます。実際に100段を上ることは大変ですが、上部に抜け出せると知っているだけで安心感があります。密閉された空間に疲れた時や閉塞感を感じた場合は、高台に移動することができるからです。

高知県でもたった一つの津波避難シェルターですから、これからも地域の皆さんに安心感を与え続け、万が一の場合は避難施設として活用できる施設になっています。

全国でたった一つの津波避難シェルターを見ることができ、防災対策にはバリエーションがあることが望ましいと感じました。避難困難地域であっても備えはできる。やろうと思えばやれるのです。