今日と明日の二日間、Sさんが京都市内への研修会の企画を立ててくれました。数か月前から企画してくれていたもので、とても素晴らしい仲間と一緒に研修会に参加することができて幸せな気持ちになっています。初日は京都の中心部ではない地域の観光ということで京都大原三千院を訪ねました。
この寺院の名前は知っていましたが訪ねるのは初めてでした。京都市の北側に位置していることから、和歌山市在住者としては余り馴染みのない地域です。秋の紅葉の季節の前の時期に訪ねることで繁忙期以外の時期の観光の取り組みを見てきました。三千院まで歩く道沿いにこの場所で味わえるお店が並んでいることが魅力の一つです。小さなお店ですが、かわいらしい小物や団子や御餅などの食べ物を扱っているので、観光と共に小さな食を楽しめます。歩いている途中に休憩するこれらの場所は、立ち寄りたくなる雰囲気がありました。
そして三千院の中庭は人が作り自然が織りなす絶景でした。庭は人が作るものですが、自然の変化を堪能できる庭造りは人と自然が共生したオリジナルな空間です。人工のものではない、放置された自然でもないここだけで味わえる空間があります。ゆったりと座敷に座り中庭を観て景観を楽しむこと。それが可能な空間がここにありました。ここが二つ目の魅力です。
そして三つ目の魅力はお庭の手入れが素晴らしくて、歩くだけで自然を体験できることです。芸術的な苔の手入れは、根気のいる作業を継続していることで保たれていると思いました。丁度、苔の間から顔を出している雑草を除去している現場に出会いました。苔の間にある雑草は一見、分からないのですが、苔と苔の間に指を入れ雑草を見つけ出して、少しずつ丁寧に取り除いていきます。鋏のような器具を使っていましたが、苔はそのままにして雑草だけを取り除いていくのです。一度の作業で取り除けるのは少量ですが、それを根気よく続けているのです。
このように少しずつ雑草除去のための作業を行っていきます。きっとお庭の手入れを一巡した頃には、また最初から取り掛かるという循環になっていると思います。終わることがないお庭の手入れですが、終わることのない作業が自然を自然に保っている秘密です。
この自然を保とうと継続する力がお庭を特別な空間にしているのです。しかも外部委託ではなくお坊さんが直接、雑草除去の作業をしているところが良いと思います。自分達のお寺は自分達できれいに保っている。その行動と意識を持つことが、三千院を良くしているのです。
夏の観光シーズンや紅葉の季節ではないこの時期でも、たくさんの観光客がこの場所を訪れていました。三千院は観光的な側面で言うと、四季を味方につけていると思います。四季の訪れの気配を読んで、最高の自然美を表現しようと備えていることが三千院の魅力だと思います。
和歌山市からの視点での京都の観光地は、金閣寺や銀閣寺、清水寺などで、決して三千院は最初に訪れる京都の観光地ではないと思いますが、他の地域であればその地域を代表する観光地になっていると思います。そんな観光地としての魅力を人が支え続けていることを感じました。庭を管理している人、観光に関わる人の取り組みが観光場所の魅力を作っているのです。
初めての三千院。この日感じたことを皆さんに伝えたいと思いますし、再び訪れたい観光地だと感じています。再び来たいと思わせることが、観光地としてとても大切な要素です。