友人達との懇談会に参加しました。今日は共通の知人の三回忌を兼ねた集まりで、一緒に食事を楽しみました。故人にとって、親しい人が命日に近い休日に集まって、偲びながら食事を取ることを嬉しいことだと思います。お供えの品をお裾分けしてもらってくれることが嬉しいことだと言いますが、その気持ちが分かるような気がします。
人は忘れ去られることや、友人達の話題に出てこないことは寂しいことなので、自身のことで集まってくれることは嬉しいことだと思うからです。違う世界にいても、話の主役になれば、その時を一緒に楽しんでくれていると思います。忘れないで近くにいることが私達にできることです。
新海誠監督の映画「君の名は」を観てきました。感性を養うためには映画鑑賞、コンサート、絵画鑑賞などに行くことが大事なことだと言われています。身近に楽しめるものが映画ですから、感性が錆びつかないためにもヒット作品は観るようにしています。
この夏、若い人達の間で大ヒットを飛ばしているのが「君の名は」です。とにかく「面白い」とう話を聞いているので観てきました。映画館に行くと場内は若い人たちでいっぱいでした。これだけ席が混んでいる映画館は久しぶりのことです。
街の話題、口コミによる影響もあるのでしょうが、映画を観た感想は「とにかく甘酸っぱい清々しさ」がありました。暑い夏に炭酸飲料を飲んでいるような清々しさがあり、途中、突然の雷に襲われたような不安があり、その夏のスコールの向こうに行くことで夏を通り抜け秋に辿り着くという感じになります。
ひと夏の経験を経た若者は大人へと脱皮していくことになります。楽しくて切ない季節を超えると大人への入り口に立っています。大人になることは、幸せは人が連れて来てくれるものではなくて、自分で勝ち取るものだと分かることです。
主人公の男子高校生の立花瀧が失われた町に旅に出る場面があります。その時は心配する先輩が同行してくれるのですが、目的地に着いた二日目は自分一人で行動します。人に頼っていた季節から、大人に向かって自立していく姿が描かれています。そしてまだ見ぬ君を探し出すのです。
この瀧くんの行動が過去の出来事に影響を与え、もう一人の主人公である宮水三葉に勇気を与えます。二人の間にあるものは三年と言う時間の壁。存在している時間が違うのですから、同じ場所にいても会えることのない二人です。ここにいる筈だという感覚に基づいて二人は近づいていきます。二人は相手に向かって手を伸ばすのですが、見ることも触れることも叶いません。
しかしそこで一瞬の奇跡が訪れ、お互いの存在を見ることができたのです。夢と思っていたことが現実だったことを確かめ合った二人は、この運命の人と生きるためにこの次に訪れる時間を変えようとするのです。
そう、その次の時間には、災害に遭遇し死んでいる筈だった三葉は瀧くんからもらった勇気で町の人たちの運命を変えるための行動を起こします。その結果は・・・。
歴史は変えられなかったと思いましたが、勇気ある行動が歴史と自分の運命も変えてしまったのです。町が災害に襲われてから8年後、決して出会うことのない二人が偶然、出会います。高校生だった二人は大人になっています。高校生という季節が大人の季節に移り、大人になって大切なものを感じながら、あるはずのなかった新しい人生に踏み出そうとするのです。
時間は真っ直ぐに流れているようですが、曲がったり、戻ったり、交わったりしながら進んでいくことを教えてくれます。真っ直ぐに進むことよりも、曲がったり、戻ったり、交わったりすることが変化をもたらし、そのことが縁をつないでいくのです。だから曲がることや戻ること、交わることを楽しむことが大切だと思います。行ったり来たりするからチャンスがある、そう思います。
観終えた後、行動していれば結末はいつも素晴らしいものになる。そう思えて、とても清々しい気持ちになりました。