活動報告・レポート
2016年8月30日(火)
熊本市視察二日目
熊本市災害ボランティアセンター

最初に訪れたのは熊本市災害ボランティアセンターです。ここで宮原副センター長からセンター運営のあり方などの説明を受けました。

熊本市災害ボランティアセンター

情報整理について大事なことを教えてくれました。情報は発進した時期と発信者によってズレがあるということです。例えば「熊本市では水が不足している」と情報を発信しました。熊本市は地下水を飲料水としていて復旧するまで二週間を要したので、最初の段階で情報を発信した時は確かに不足していたのですが、他県からの水の供給があり数日後には飲料水は足りていました。

しかし一度発信した情報、特にSNSで発信した情報は拡散していくので、水が足りるようになった後も、全国から水が送られてきました。有り難いことなのですが、その時の状況は水よりも他の物が欲しい状況になっていたのです。

もし、全国の皆さんが熊本市からの情報を見てくれていれば、その時に必要としているものが何か分かってくれたと思いますが、SNSで拡散していった情報を基にして支援してくれたので現場ではチグハグがありました。

情報は、地元行政のホームページなどを確認して欲しいこと。SNSで拡散している情報は古いものがあるので時期を確かめて欲しいことが重要なことです。

ボランティアの役割は特別な技術や資格が必要ではありません。被災者や支援のための役割はたくさんあり、被災者を支える役割、被災者に寄り添う役割、支える人を支える役割などがあります。誰でもボランティアスタッフとして活躍できる場があります。被災者が現状を乗り越えるためにボランティアの方々の支援を必要としています。

熊本市災害ボランティアセンター

ボランティアの方が無償で労力を提供してくれるから支援してもらうと言う考え方は正しくないと思います。全国から熊本市に来てくれるだけでも交通費、宿泊費、飲食費を必要としています。ですからボランティアセンターとしてはボランティアに関わってくれている時間はお金を使わないように考えています。車で来てくれた場合は駐車料金として一日800円ぐらい必要となりますが、その負担をさせないために熊本市動植物園内にボランティアセンターを設置しました。その結果、駐車料金は無料になりました。

ボランティア活動をしていると喉が渇いたり、甘いものが食べたくなります。そこで飲料水やお菓子を用意しています。無料でペットボトルの水やお菓子を配っています。

熊本市災害ボランティアセンター

企業からの協賛。全国の企業から協賛品を提供してもらいました。飲料水、日焼け止め、お菓子、体を冷やすものなど、企業と掛け合って提供してもらいました。これらの商品は被災者やボランティアの皆さんに提供していますが、苦しい時に飲んだジュースやお菓子のことはいつまでも覚えています。現実の生活に戻った時は、「あの時に飲んだジュースだから」と思って、選んでくれることになります。企業にとって将来の顧客を作ることや宣伝効果につながりますから、商品提供の依頼に対して「NO」と回答した企業はありませんでした。これもボランティアセンターの役割の参考になります。

ボランティアが不足している時、市長がSNSで「ボランティアが足りません」という情報を発信してくれました。その結果、数百人のボランティアさんがセンターに来てくれました。トップからの情報発信はとても力があります。

以上のような内容の話を聞かせてくれました。

熊本城
熊本城 熊本城

熊本城は石垣の崩壊や落石、建築物が倒壊の危機になっているなど、現場に行かないと分からない状況を間近で見ました。今の状況から考えて、熊本城再建までには20年を要すると見込んでいます。20年の歳月が必要な状況にあることを現場で説明を聞いて知りました。外から見ていたことや思っていたよりも深刻で大変な状況にあります。 熊本城の再建に当たっている方からは、「熊本城は普段はあって当たり前だと思っていたのですが、被害を受けて初めて「熊本市民の精神的支柱だった」と思っています。再建するのが私達の役割です」と話してくれました。単に熊本市に存在しているものではなくて精神的な支えだったのです。

熊本城

何年かかっても元の姿に再建することが熊本市の役割であり使命です。今から20年もかかるのですから市役所の職員さんが一代で出来るものではありません。現在の責任者が道筋をつけて次の職員さんに引き継ぐ。そして次の人に引き継いでいく。そんなことを何代も繰り返して20年かかるのです。熊本城の再建は、未来の熊本市を支える職員さんに引き継ぐ大事業です。

ただ天守閣はシンボルですから「3年で再建させたい」と市長が短期間での再建を目指しているようです。また「熊本城の再建は100年後の熊本市民のための事業である」と話していることを聞きました。早く再建することも大事ですが、この機会に100年後に通用する熊本市を目指す考えを持っているようです。

熊本城だけを再建すれば良いと言うものではありませんから、再建した時の熊本市のあり方を市民の皆さんや学生達と話し合っているようです。現段階では入れない被災現場に入ったことで、本気で熊本城の再建を応援したくなりました。

熊本城 熊本城
熊本市民病院
熊本市民病院

熊本地震の影響で熊本市民病院が損傷したことから現在は使われていません。入院患者さんは全て他の病院に転院したり、退院したりしています。この建物は使えないので、平成30年度に新市民病院の建設を計画しています。

病院が被災すると大変なことになることが分かります。患者さんの生命、新生児の生命など、病院は命に直結しているからです。建物が倒壊してはいけませんし、停電してもいけません。病院の機能が停止するようなことがあってはならないのです。そして建物の安全性に疑問符が付いた場合、即刻退去してもらうリーダーの勇気が必要です。病院のあり方を考える契機となりました。

熊本市民病院 熊本市民病院