条例や規則などで定められている条文通りに仕事を当てはめると、「できない」という理由で回答がし易くなります。地方自治体に困って相談に来るのは「やりたいけれどできないのでないだろうか。できる方法はないのだろうか」と思ってのことです。そんな来庁者に「条例で決まっているからできない」と答えることは、職員さんなら誰でもできることです。
しかしやれる方法を見つけることも相談を受けた側の人が行うべきことです。地方自治体にとって必要性があることや地域振興につながるものであれば「やれるよう」な方法を考えることも職員さんの仕事だと思います。
普通に条例を適用すればできないけれど、考え方を変えると「できるのでは」と思って適用できるようにすることも大切な仕事です。
この案件を条例に照らし合わせると実施は難しい。しかし条例制定時からの社会情勢の変化や地域事情から勘案すると、実施することが地域として利益につながることもあります。過疎化した地域に工場進出が検討されている場合、環境規制を盾にとって進出を拒むことは得策ではないかも知れません。地域にとって仕事と雇用が必要だとすれば環境規制を適用し工場進出を拒否することは、地域が将来得られる利益を失わせることになります。
環境の規制があるとしても、地域活性化、働く場所の確保、税収の増加などにつながる案件があれば、環境規制を緩和してでも工場を認めたいところです。地方都市への工場の進出機会を失わせてしまうことは、将来、大きな損失を与えることになります。
勿論、環境規制は重要ですが、現在、立地をしようとしている工場で環境基準を守らない会社はありませんし、大手企業の進出によって地域に悪影響を与えることはない筈です。
ですから地方自治体においてはそれぞれの条例や規則がありますが、時代と照らし合わせて、現在の状況に合った条例や規則の適用をして欲しいところです。
やれない理由を考えることは簡単ですが、やれる理由を考えることに仕事の価値があります。仕事の楽しさは、地域に必要なものを導入することにあります。地方自治体においては、その規制の原因となっていることを解釈によって取り除き、地域社会に利益になるような采配を期待したいところです。
わが国において時代は、高度成長社会、公害への対応を求められた社会、情報社会、そして環境を保全する社会へと推移しています。その時、その時に時代が求めた価値があり、その価値を実現するために条例が作られています。時代が変われば条例を改正する必要がありますし、改正しないまでも社会環境変化に対応した条例解釈が必要だと思います。
地域社会にとって将来プラスになる方向に仕事を進めることは基本です。それを阻むものを取り除くことが地方自治体の役割の一つです。
地域事情や案件ごとに条例などの解釈が異なりますから、地方自治体としては難しい判断が求められますが、地域社会が求める社会の実現に沿った形での条例解釈などを期待しています。
お盆の一日。街はゆったりと時間が流れています。家族を亡くした人のお盆を迎える気持ちを聞かせてもらいました。
- Yさん。「最後まで頑固でしたね。親父は僕の言うことは全く聞いてくれませんでした。『歩く時は気をつけて』と言っても『ほっといてくれ』と言って歩くので躓いて倒れて骨折したことや、怪我をしたとこが度々ありました。最後に入院した時も元気で、少し弱ったかなと思ったのが亡くなるまでの一週間だけでした。入院中にジュースを飲んだ時に『おいしい』と笑顔になっていたことが心に残っています」。
- Aさん。「とても優しいおばあちゃんでした。若い時は裁縫店をやっていたので、服が破れた時は縫ってくれたりしました。元気な時は食事も作ってくれたし、一緒にいて気を使わない人でした。90歳を超えるまで生きられたので幸せだったと思います」。
思い出に浸るお盆の光景は様々です。こうして夏は巡り、慌ただしく通り過ぎていきます。暑さも折り返し地点を過ぎました。