建設委員会二日目は、那智勝浦町の土砂災害啓発センターの視察からスタートしました。余談ですが昨日は那智勝浦町に宿泊しましたが、夏休みということもあってホテルは観光客で賑わっていて安心しました。平成23年9月に発生した紀伊半島大水害の影響で、当該年度、翌年度のこの地域への観光客は大幅に減少していました。早期復旧を目指し、そして観光客に対しては紀伊半島大水害の影響はないことを訴えてきたので、元通りに回復している状況を嬉しく思っています。観光客の方々と話をすると、もう紀伊半島大水害の記憶は消えているようで、観光行政面では歓迎したいと思います。
そして今朝、視察に訪れた那智勝浦町の土砂災害啓発センターは平成28年4月に竣工した施設で、紀伊半島大水害の記憶を風化させないことも役割の一つとなっています。紀伊半島大水害の教訓を後世に伝えること、二度と悲劇を繰り返さないための防止策を研究することを目的にしている土砂災害啓発センターで学ぶことがたくさんありました。
平成23年9月、大雨の影響で那智勝浦町那智川沿いに土石流が発生しました。現在、この災害発生のメカニズムや当時状況を研究し、同じ悲劇を起こさない対策を研究しています。和歌山県と那智勝浦町は勿論のこと、国の機関、北海道大学や京都大学、三重大学と和歌山大学なども研究チームに加わってもらって調査と研究を進めています。地質から約300年に一度は土石流が発生する可能性があり、将来の「その時」に備えることを目指しています。
若い研究者の方を紹介してもらいました。これまでも学会で研究の成果を発表していますし、9月にも学会で発表することを教えてもらいました。これまでも数本の論文を学会で発表しているようで、全国から行政や議会、専門家などが土砂災害啓発センター視察に訪れているようです。
地滑りや土石流はその場所の深層部分から発生しているので、植林やコンクリートで固めるなどの表面上の対策では対応できません。地面に約30メートルの杭を打ち込むことや、地下水をくみ上げて滑らないようにするなど、地滑り防止のためには大掛かりな対策が必要となります。また地質や地形によって対策が違ってくるため、研究成果を出すのは大変だと思いますが、選ばれた若い技術系職員さんが研究に取り組んでいるので、将来の成果に期待しています。
ところで、那智勝浦町の地質が特殊なものだそうです。それは今から約1400万年前には、紀伊半島南部には巨大な火山があったとされています。当時、多量の火砕流が噴出し、地表が陥没したため、巨大なカルデラが形成され、地下では巨大な火成岩脈が形成されたようです。現在、かつて存在していたカルデラの地形は失われていますが、地下にあった火成岩脈の一部は現在も存在しています。
当時の巨大カルデラの規模は、南北径40km、東西径20km。串本町、古座川町、那智勝浦町、新宮市、旧本宮町、三重県南部まで広がっていたそうです。
この施設での研究が進み、地元は勿論のこと、全国の地滑り危険個所と言われている場所の危険回避につながるようになって欲しいものです。和歌山県が地滑り研究の先進地域になることを願っています。
その後、串本建設部の移転先である串本町サンゴ台の視察、和歌山県道粉河加太線田屋工区現場などを視察して回りました。巨大地震や津波発生時への備え、計画道路の早期完成を目指して活動を続けているのが建設委員会です。これらの目的達成のために建設委員会で更に活動を行っていきます。
- 和歌山市内の道路整備計画に関する打ち合わせを行いました。紀の国わかやま国体以降、道路計画が進展していますが、気を緩めないで計画の進展を図ります。
- 和歌山市内にある県道に一部陥没が発見されたので、危険回避のため緊急対応をおこないました。このように、早期発見と早期対応が安全確保につながります。