今日と明日の二日間、建設委員会の和歌山県内視察に出掛けます。建設委員会は現場の動きを知ること、進捗状況を把握することが業務を遂行する上で大事なことです。議会中に開催される委員会は机上での議論ですが、現場を視察し現状を把握することで今後の道路行政のあり方や道路計画に意見することができますから、現場を知ることはとても大切だと考えています。
さて初日の今日は、京奈和自動車道紀北西道路の工事現場を訪れました。この道路は岩出市から和歌山市に向かって延伸している道路で、最も難工事だとされている箇所です。
この雄ノ山高架橋は最大地上から100mの高さがあり、橋脚の建設と道路の設置が困難に場所にあります。地元では天空の道路と呼ばれる高さで、大げさに表現すると、この高架橋の下の谷間に朝霧などが発生するなど、まさに天空の道路と言える高さです。高所恐怖症の人が運転すれば少し怖くなると思える道路です。
工事の残りの区間は約6.5kmのところまで来ています。平成28年11月中には道路を連結させる計画となっています。この場所の建設工事を終えると完成見込みが立つことになり、平成28年度中の供用開始に向けて鋭意工事が進められています。
この岩出市から和歌山市までの区間の工事の予算は約1,160憶円となっています。この予算額からもこの場所の工事の難しさを示しています。
道路工事に際しては地震への備えを考えています。地震が発生した場合、高速道路の直線部分は道路方向にだけ引っ張られるそうです。前後左右に揺すられるのではなくて、道路の伸びている方向に引っ張られることを知りました。そのため橋梁の形式は四角形になっています。四角形にすることで、揺れに備えた面積が増えるから安全性が高くなるからです。
それに対して地震発生時、カーブの部分は前後左右に揺すられることになるそうです。そのため橋脚を四角形にすると道路の伸びていない側の揺れに対応できないことから、円形にしています。円形にすることで、どの方向の揺れに対しても橋脚の総面積を増やすことになるからです。
このように道路の形態に応じて橋脚の使用も変更していること、走行中の自動車が安全に合流できることなどを考慮しながら道路設計を行い、現在工事を進めています。現場を見ることで進捗管理ができますし安全性を確かめることもできます。
補足ですが、京奈和自動車道の橋本市の工事に着手したのは平成17年度で、この区間が完成したのは平成19年度のことでした。当時、この沿線の企業立地件数は7件でしたが、岩出市まで道路が延伸した後の企業立地件数は99件に増えています。このように高規格道路が供用開始されると、沿線の場所への企業立地が増加することが分かります。
確かに、橋本市や紀の川市、岩出市などでは企業立地が増えて工業団地が埋まっていると聞いていますから、高規格道路、高速道路、幹線道路などが供用開始されることで、沿線地域が発展していると言えそうです。
また京奈和自動車道紀北西道路が完成すると、関西空港から阪和自動車道・京奈和自動車道を利用してかつらぎ町や橋本市まで行けますから、高野山観光客の増加も期待できると話してくれました。外国からのお客さんや関西空港を利用する国内のお客さんに向けた観光ルートが強化できるので、観光振興にも寄与することになります。
高速道路は自動車で移動する際の利便性の向上、物流の利便性向上とインターチェンジ付近の物流拠点の進出、企業立地の促進や観光ルートや防災機能強化などにつながります。
平成28年度末の供用開始に向けて、建設委員会として計画が進捗することを後押ししています。
またこの道路完成後の大きな課題として、京奈和自動車道と第二阪和国道の両道路をつなぐ東西の道路計画があります。阪和自動車道紀の川ジャンクションから第二阪和国道に接続するルートを取ることになりますが、一度、阪和自動車道に入り走行することから、この短い区間の高速道路利用料金が発生することになります。この問題にどう対処するのかも今後の課題となります。
建設委員会としては、これらも課題にも対応していくことにしています。