活動報告・レポート
2016年5月20日(金)
議会運営委員会
議会運営委員会

平成28年6月県議会定例会を前に議会運営委員会が開催されました。議題は議員派遣や平成28年6月定例会開会日の開催場所の変更についてなどを協議事項としました。

6月定例会の開会日は6月2日ですがこの日の議会を、岩出市に移転した旧和歌山県議会堂で開会することに決定しました。

この議事堂では、明治44年8月に、夏目漱石が「現代日本の開化」と題した講演を行っています。歴史と伝統のある議事堂を復元したことから6月定例会をこの地で開催することは嬉しいことですし、明治の先輩議員達が議論を交わした議事堂で定例会の開会を迎えられる幸運を感じています。

評論

結果論で言うのはとても簡単です。熊本地震で家の壁や塀が倒壊している現状を見て「東北の震災の教訓を活かしていない」と指摘する人がいます。倒壊している状況を見てそう評価したのでしょうが、正しいと言えるのか疑問があります。

家屋は建築基準法に基づいていますし、壁や塀も家屋と同様に従来よりも強化して建築されていたと思います。熊本県でも大地震に備えたまちづくりをしていた筈です。

今回の地震の特徴である余震が多く、しかも本震災直後の余震のエネルギーが大きかったことが挙げられます。新建築基準法の基準に沿って建てられた構造物は、一回の大きな揺れには対応できますが、一度目の揺れで構造物が弱まっているために、二度目の大きな揺れに耐えられなかったと見るべきだと言われています。新建築基準法に準拠した構造物であっても複数回の大きな揺れには対応できないのです。

このような事態を想定して構造物を建築していなかったという指摘は、典型的な結果論であり、地震発生前に想定できるものではありませんでした。地震発生前に「新建築基準法に対応した構造物であっても複数回の大きな揺れに襲われると倒壊するから対応が必要です。対応の方法は○○をしておくべきです」という指摘があったなら、実務家として適切な指摘をしていたと思いますが、事前に何の危険性の指摘はないのに巨大地震発生後に「見通しが甘かった」と言うことや、見通しが甘いことに対する対応策を示せないのでは評論家です。

結果が出てから言うことは簡単なことですが、結果が出る前に何かの危険性を指摘することは難しいことです。結果を見て反省することは次につなげるために大切なことですが、結果からそれまでの対応を批判することは好ましくないと思います。

壁や塀の倒壊現場を見て、「東北の震災から学んでいなかった」と言うのであれば、ではどんな対策を講じておくべきだったかの専門的意見を述べるべきだと思います。結果が出てから批判することは容易いことですが、違った結果になっていたと想定できる代替案を示さなければ良い意見とは言えません。

結果を見て批判するのではなくて、その状況に対応した行動ができる人でありたいものです。

熊本支援

被災者の方々の支援のために熊本県に行った方から現場の状況を知らせてもらいました。報道されているよりも現場の状況は酷くて、家屋倒壊と避難所生活での疲れなどから精神的に厳しい様子があったということです。車で避難生活をしている人に尋ねると「本震で感じた怖さと余震が続いていることもあり、家の中に入ることが怖いのです」という心理面で影響があるようです。自分の家であっても入ることができない。そんな気持ちになっていることもあり、「本当の意味での復旧には相当の時間を要するだろう」と感想を伝えてくれました。

また避難所生活でのプライバシーの確保も大きな問題ですが、同時に他の人と一緒にいることで安心できるという一面もあるようです。このような状況を聞くと避難所のあり方の難しさを感じます。

また宿泊できるホテルが少なく、タクシーも少ないので、宿泊や移動手段に困ったそうです。そのためボランティアに行っても宿泊や移動手段の確保が難しいことから、自己完結型のボランティアができない状況だそうです。ここにも問題点が潜んでいます。

ところで今回、熊本県を訪問した皆さんは被災地の支援の一つとして、トイレ不足の問題に対応するため、トイレがない場所でもトイレの代わりになる緊急携帯用トイレの「行っトイレ」製品を届けてくれたということです。この製品は平成27年度和歌山市チャレンジ商品に認定されたもので、高校生のアイデアから生まれたものです。

和歌山市の開発者からのこの支援を、現地の方々は大変喜んでくれたと聞いています。