活動報告・レポート
2016年4月24日(日)
営業力

営業の仕事で大事なことは、スピード感と「YES」「NO」をはっきりと言うこと、雑談を交わせる間柄の人脈を持っていることだと伝えてくれました。他にも条件はありますが、勝ち残る企業は最低、この三つができている組織だということです。

スピード感とはお客さんの要望に応じる力です。自社を主体と考えるのか、お客さんを主体と考えているのかによってスピード感は違います。お客さんの要望に応えようと動くなら、お客さんのために企業を動かします。企業を主体と考えるのであれば企業の立場を守ることを第一とするのでお客さん要望に応えられないことが多くなります。回答に一か月も待たせるような企業であれは競争に勝ち残ることはできません。待たせている間に他の企業が営業に入るからです。

そしてスピード感はお客さんの重要度によって速度が異なることがあります。お客さんに差を設けるという意味ではなくて、販売量や利益率から計算して何としても将来に亘って顧客であり続けて欲しいお客さんがいるとします。このお客さんに顧客でい続けてもらうための営業戦略が必要となります。何故なら、その企業にとって大切なお客さんは、同業種の他の企業にとっても大切なお客さんとなる存在だからです。当然、営業戦略上、重要だと位置付けているなら攻めの営業を行います。

重要なお客さんをランク付けすることが戦略ではなくて、どのように顧客として留まってもらうのかを考えることが戦略です。ランク付けして訪問頻度を密にすることは戦略ではありません。お客さんにとって、その企業と取引を継続することが利益につながることを伝え理解してもらうことが戦略ですから、お客さんを主体とした考え方とスピード感と戦略を持った訪問が必要となります。

そして「YES」と「NO」を言えるには権限が付与されていることが前提です。訪問の責任者に権限が与えられていない場合は、お客さんの要望に対して現場で判断することができませんから、お客さんの要望を持ち帰ることになります。何度も持ち帰りが続くと、やがてお客さんはその担当者を信用しなくなります。「YES」「NO」の判断できないからです。

それなら「判断できる人を現場に来てもらいたい」という要望に発展しますから、現場に近いところに権限を付与している企業に競争力があり強いのです。

現代は小さな買い物でも、スーパーや量販店に行くのではなくてインターネットの時代です。インターネットで買うということは、お客さんが購買に当たってスピードを求めているからです。企業はそんな人の集団ですから、同じようにスピード感を有し、そこに価値を置いています。今すぐ買えるモノを、判断が必要だから持ち帰ってお客さんを「待たせる」ことは競争力を有していない企業だと言えます。

最後に、雑談力です。こんな事例を話してくれました。大企業の部長がある人に対して「○○企業の代表者に合わせて欲しい」と依頼がありました。営業担当の部長がその企業の代表者に挨拶をしたことがないので「場を持って欲しい」という依頼に基づいてのことです。

営業担当部長は代表者と会って名刺交換をした後、直ぐに鞄から商品パンフレットを取り出して説明を始めようとしたのです。同席した紹介者は「部長、ちょっと待ってください。先に代表者と話をしませんか」と説明を中断させて雑談から入ることにしたのです。

雑談は時間の無駄ではなくて、人間関係を作るための、そして自分がどんな人間かを相手に知ってもらうための準備体操みたいなもので、省くことができないものです。雑談する話題がなければ話し合いは白けてしまうことがあるように、雑談力は営業に関わる人にとっての武器の一つです。

雑談の中から相手の現在の関心事や知識レベルなどを推測することができますから、その後の説明や交渉をどう進めようかと考えることができます。雑談の時間を有効にしている人が営業力のある人だと言えます。

最初は雑談が90パーセント、本題が10パーセントでも良いと思います。相手は営業パーソンが思うほど、自社のことに興味を持っている訳ではありません。本題に入る前に個人として興味を持ってもらい、「この人の話を聞いてみよう」と思ってもらえることが先決です。そこから始まりますから、三度、四度と会う過程の中で、本題の説明に入ると良いのです。

以上の三つのことを最低限心得て、大切な交渉に挑みたいものです。スピード感を感じない人。判断できない人。雑談できない人は、企業の代表として営業するには厳しいものがあります。