商売の難しさを感じました。普通の時は良いのですが、問題が発生した時の対応がお店の印象を決定づけます。問題発生の時の対応によって、お客さんが将来もお客さんでいてくれるのか、それとも別のお店に移るのかを決めることになります。通常の仕事であればマニュアルに従って対応すれば問題は起きませんが、問題が発生した時の初期対応はその人の裁量になります。初期対応がお店の印象と、将来もお客さんであり続けてくれるのかを決定づけるのです。
販売した商品に不具合があり交換を申し出ることは時々あることです。その商品を好んで購入したけれど、機能に不具合があり作動不良の場合は、お客さんはお店に対して修理や交換を申し出ることがあります。
その時、お客さんの扱いに問題があったようなニュアンスや、商品の点検をしていない内から、「規定で交換できない」ことを伝えては不信感につながります。お客さんはお気に入りの商品なので気持ちよく使いたいと思ってお店に来ているのです。お気に入りなのに、例えば時計であれば時間がずれることや正確に時を刻まないのであれば、同じ商品に交換することも考えるべきです。
最初から「交換できません」と突き放せば、お客さんは不信感を抱きます。お客さんは「言い難いけれど」、「親切に対応してくれるかな」などの気持を持って来店していますから、その期待に応えられるような初期対応が求められます。
「お客様、申し訳ございません」から入り、「商品を拝見させていただき対応させてもらいます」、または「場合によっては交換させていただきます」などの対応をしてくれること期待しているのです。
不安を安心に置き換えるような対応をしてから、不具合の原因を突き止め、お客さんに説明することが初期対応だと思います。
お客さんは店員さんの対応と説明に納得すれば、修理や場合によっては交換してくれるまで待てるのです。
ところが不安を不信に変えてしまった場合、「もう結構ですから返金して下さい」という結果になることがあります。不安を不信に変えてしまうのは、次のような初期対応のまずさが考えられます。
- 最初にお詫びの言葉がないこと。
- お店に責任はなくお客さんに責任があると感じさせてしまうこと。
- 交換できない理由を丁寧に説明すること。などです。
そう感じさせてしまうと、お客さんはこの商品だけではなくてお店に対して不信感を持ってしまいます。その結果、「これまではこのお店で買わせてもらっていたけれど、今後は考えます」ということに発展してしまいます。問題発生の時の店員の対応の難しさを感じます。
待っている間、他の店員が「お待たせしてすみません」、「良かったら、このお席にお座り下さい」、「長い時間お待たせして申し訳ございません」などの声を掛けてくれると対応の良さを感じさせてくれるのでお店の印象は少しばかり回復します。
待っている間のお声掛けと、この商品に起きた問題に対しての交換、返金をすることがお店の信頼となり、将来もお客さんとして留まってくれることになります。
お客さんは購入した商品に関して素人ですから、家に帰ってから使用した結果、数日後に不具合を感じることがあるのです。機能は見えないので直ぐに不具合を感じ取ることはできませんから、お店に問い合わせるのに時間を要することになります。少しばかりの時間の経過があったとしても、お客さんの善意を信頼した初期対応をして欲しいと思います。
お店がプロであれば、預かった商品の不具合がお客さんの乱暴な取扱いによるものか、最初から欠陥商品だったのか分かる筈です。
商品交換の依頼と初期対応の現場から、学ことがありました。