平成28年の秋に和歌の浦アート・キューブで水彩画展を計画している玉岡さんを訪ねました。自ら水彩画を描いていますが、同時に水彩画教室を開催しています。この水彩画教室は、玉岡さんの水彩画を見た人たちが、「こんな素敵な絵を書きたい」と玉岡さんに要望し、生徒として習っているものです。水彩画を好きな生徒が枠にとらわれない自由な作品作りに励んでいます。生徒さんの作品展を毎年観ていますが、年々上達していることが分かり、楽しく学んでいることが伺えます。
今回、出展を予定している和歌浦や新作を見せてもらいました。まだ額に入れられていない作品を見て楽しいのは裏面を見ることです。裏面には制作の日付と作者の思いが書かれています。「背景の岩山を描くのに苦労した」、「体調が優れなかったので作品として不満足である」などの感想が書かれています。
何百枚も描いている作者であっても、体調や気持ちの持ち方によって作品作りに影響していることを知り、かえって人間味を感じました。画一的ではない作品は、作者の思いと情熱などの要素を付け加えて完成しているのです。作品に込められた思いが作者の温かさとなって表現されているので見る人に感動を与えてくれるのです。
秋の開催まで半年以上の期間がありますが、作品制作、出展作品の選定、会場レイアウト、皆さんへの案内、そして会場づくりなどの作業が控えているため、もう繁忙期に入ろうとしています。
作品展で鑑賞する玉岡さんの作品も素晴らしいのですが、直接、原画を間近で見ることも楽しいことです。これらの作品は紙に描かれた絵画ではなくて、作者の思いが詰まった分身だと思います。見る人の心に響くことで作品は命を与えられるのです。事実、平成27年の秋に和歌浦天満宮が玉岡さんの描いた和歌浦天満宮の絵を見て、玉岡さんに「この天満宮の絵画を奉納して欲しい」という依頼があり、その作品を奉納しています。現在、和歌浦天満宮にこの作品が飾られていますが、関係者の話では「この先、200年、300年とこの場所を飾り続けることになります」ということです。
単に絵画作品という存在ではなくて、生命を吹き込まれたものになっている訳です。ですから玉岡さんに「玉岡さんの命がこの作品に吹き込まれて永遠の命を得たと思います。私達がこの世を去っても、この作品は生き続けるのですから嬉しいことです」と話しました。思いを形にして命を吹き込む。それが永遠に近い生命を与えられる。そんな素敵な物語が始まっています。きっと秋の作品展では、100点の作品が私たちの心に届き、新しい物語を生み出してくれる予感がします。
ところで玉岡さんが水彩画を描き始めたのは60歳を超えてからのことです。会社員生活を終え、第二の人生をスタートさせた時に水彩画を描き始めたのです。60歳を超えてからでも、人の心に届く作品を創作することができる。そしてその作品が多くの人のところに届き、奉納や作品展の依頼があることは嬉しいことです。何かを始めるのに遅すぎることはない。玉岡さんの姿勢に触れ、そんな言葉を感じます。
平成28年秋の作品展の開催を今から心待ちにしています。作品の数々と作者の生命の鼓動が、また私達に新しい感動を届けてくれると思います。
和歌山県として和歌山県民歌の普及に取り組んでいますが、県内の全小学校の音楽の授業で取り入れることを学校長に依頼することになりました。郷土愛を醸成することで故郷に誇りを感じ、将来は、郷土を支えようとする心を育んでくれるものと期待しています。
そのため和歌山県民歌は伴奏用と模範演奏用のCDを制作し、全小学校に配布することが決定しました。県民運動の盛り上げを図る方策が進んできたことを嬉しく思っています。