活動報告・レポート
2016年2月3日(水)
インタビュー
インタビュー
インタビュー

文京学院大学の二人の学生、元木未希さんと山田真由さんが和歌山県を訪れてくれました。同大学のanimejapan2016学生実行委員会トルコ班に所属していて、日本とトルコの友好関係はどのようにして築かれたのかを研究しています。友好関係を調査するうえで絶対に必要なことはエルトゥールル号事件で、その調査を目的として和歌山県串本町の現地調査に入ってくれたものです。

「和歌山県を訪れるのは初めてで、和歌山県で初めて出会う人は片桐さんです」と話を切り出してくれました。

「日本とトルコの友好関係を築いた要因としてエルトゥールル号事件が寄与していると思いますか」、「日本とトルコの友情関係は築かれていると思いますか」、「友情関係を築くために必要なことは何だと思いますか」、「『海難1890』の映画で広がった両国の友情は今後どのように発展していくと思いますか」、「和歌山県の中でのトルコとの関係は」、「友情関係を続けるためには」などのインタビューに受け答えしました。

首都圏の学生さんがこの問題に関心を示してくれて、和歌山県を訪れてくれたことは嬉しいことですし、研究の成果がまとめられトルコ班から発信してくれることに期待するところです。研究の成果をあげるためには現地を見ることと、その問題に関係する人の話を聞くことは不可欠ですから、研究の仕上げに際して串本町に入ってくれることになりました。

「日本とトルコの友好関係を築いた要因としてエルトゥールル号事件が寄与していると思いますか」。

今回の映画「海難1890」によってエルトゥールル号事件とテヘラン空港からの日本人脱出の歴史が知られることなったと思います。これまでエルトゥールル号の事件は日本の歴史の中に埋もれていた感があり、日本とトルコの友好関係が築かれた歴史が映画として蘇ったことで、串本町の先人達の行動がこの友好関係の基礎になっていることを認識してもらえたと思います。

映画で分かるように、串本町の人の温かさやトルコの人を自国の人と同様に助けるという行動が、乗組員の中の生存者がトルコに帰国した時に日本人の素晴らしさを伝えてくれた動機になっています。この今から125年前の出来事がテヘラン空港から日本人が脱出できた原因になっていますし、今に続く友好関係を築いていると思います。

「日本とトルコの友情関係は築かれていると思いますか」。

 トルコでは小学校の教科書でエルトゥールル号事件を取り上げ、長い間、教育を行っています。大人も子どももこの事件のことを知っていて、日本に友情を感じているようです。一方、わが国では歴史教育でエルトゥールル号事件を取り上げていないことから、トルコが何故、日本に友情を示してくれているのかを知らなかったと思います。テヘラン空港の事件の時もトルコ航空機が何故、日本人を助けてくれたのか知らなかったことからも教育機会に欠けていたと思います。ですから日本人の多くが友情を感じているとは言えないように思います。 和歌山県では副読本でこの歴史を教えていますが、教科書に詳しく掲載されて歴史教育として学ぶことが友情を強固なものにすることにながると思います。両国のこれからの友情の底辺の拡大と強化のためにも教科書で取り上げることが必要だと考えています。

「友情関係を築くために必要なことは何だと思いますか」。

友情は簡単に築けるものではありません。まずは関心を持って会うこと、話をすること、そこから信頼関係に発展していく可能性が出てきます。人は出会うと、どんな人なのかを見抜く力を持っています。素直や人、優しい人、冷たい人など、会うと感覚で分かりますから、やはり信頼関係に発展させるためには人間力を高めておくことが大切です。

人間力とはコミュニケーション能力、思いやる心、強さなどの要素の総合力ですから、それを高めるためには人と会うことが始まりとなります。

形にならないものが大切ですから信頼関係に価値は必要ないと思いますが、形のないものを信じることは難しく、またちょっとしたことで崩れることがあります。継続して会える関係を持つことが大切だと思います。

「『海難1890』の映画で広がった両国の友情は今後どのように発展していくと思いますか」。

きっかけとして映画製作は素晴らしいと思います。両国、和歌山県も映画製作に関わっていますし、和歌山県で全ての高校生に映画を鑑賞してもらう取り組みを行っていますから、このことが両国の友情の基礎力になると思います。ただきっかけは映画や国の力を借りましたが、いつまでも支援してくれるものではなく、映画の効果も永続的なものにはなりません。この映画製作を支えた団体や民間人が、継続してエルトゥールル号のことを言い続けることが日本とトルコの友情を継続するために必要なことです。

私達が次の世代に語り継ぐことをしなければ歴史は埋もれてしまうものです。大学のトルコ班として活動をしていることは情報発信拠点になり得ると思います。友情関係を調査したものを形にすることで語り継ぐことができますし、ご縁があってこの問題に関わった皆さんが卒業しても、この問題に関心を持ち誰かに話し続けることになると思います。それが継続する力ですから、いつまでも関心を持ち続けて欲しいと思います。この研究は小さな成果かも知れませんが、小さな成果を発信してくれることが大きな波紋を呼ぶことになります。小さなことを取り組み続けることが大きな成果になることを、僕は経験から知っています。

「和歌山県の中でのトルコとの関係は」

和歌山県は広いので串本町と和歌山市では温度差があります。和歌山市の多くの人は串本町で起きたこの歴史を少し前まで知らなったと思います。僕も学校で習った記憶がありませんから習っていなかったと思います。和歌山県の認識も全国と変わらないレベルだと思います。当事者である串本町の高い意識と和歌山県全体の意識とでは、残念ながら差があると思います。この差を埋めるのは小学校での歴史教育、故郷教育に尽きると思います。

ただ映画の力は大きくて、「海難1890」のお蔭で和歌山県民の日本とトルコ両国の友情の基礎が串本町にあったことを知ってくれたと思います。人と会った時、「海難1890」の話題に触れると、多くの人はこの事件のことを話すことができますから、県民への影響力や歴史認識の効果はあると思っています。

「幸せを感じるためにはどうすれば良いですか」

人として幸せを感じるには、今この時を楽しみ幸せと感じる必要があります。例えば、インタビューをしている今を「幸せ」と感じるなら幸せですし、「嫌だなぁ、早く終わらないかな」と思っていると幸せとは感じません。心の持ち方によって幸せを感じることができます。

ただ相対している人の印象もありますよね。好感度の高い人といれば楽しくて幸せな時間になりますし、そうでなければ逆の感じ方をします。接している相手に幸せと感じてもらうためには、好感度を上げることが必要です。笑顔や爽やかさ、話し方などはその人の性格や生きてきた背景によって異なりますから、好感度を高めるためには生き方を工夫しなければならないと思います。

「友情関係を続けるためには」

ご縁を大切にすることです。今回の取材で和歌山県と串本町に入っていますが、多くの人と会うことになります。今回10人に会って、1年後にその中で2人でも、10年後に1人でも連絡できる関係を保つことがご縁であり、ご縁を活かすことになります。1人でもつながっていると、この活動を継続させていることになりますし、この調査以外のことでも力になってくれると思います。それが人と人との友情ですし地域を超えた友情の基礎になります。

1人だけでも知っていることが、どれだけ力強いことか分かる事例があります。企業や役所、大学などを訪問した時、誰も知らなければ一人ポツンとしていることになり、つまらない時間を過ごすことになります。そもそも知らなければ、そこを訪問することもないから活動領域が狭くなります。活動領域が狭いことは幸せを感じることが少なくなりますから、もったいないことです。

もし1人知っていれば、その会社や大学を訪問することができ、時間を有効に使うことができます。1人知っていれば訪ねやすいから、人を知っていると知らないのとでは、成果として大きな違いがあります。

「記録を残すこと」

研究の場合は記録を残すことができます。活動の結果を報告書という形でまとめ発表することになると思いますが、文章を媒体として記録に残すことはとても大事なことです。優れた企画や重要な仕事でも結果を正式な冊子という形にしておかなければ、年月と共に風化してしまうので何も残りません。記憶を呼び覚まそうとしても、今のことを復元することはできませんから、やはり記録集、報告文集のようなスタイルで残すことが好ましいと思います。日本とトルコの友好関係の調査に関しては記録集という形で残り、またインターネットで発信することになると思いますから、発信力に期待しています。

研究や仕事で大切なことは記録に残し足跡を留めることです。

「最後に」

今回、インタビューを行ったことで、あなた達からすると和歌山県のことを知りたければ聞くことができますし、僕は上京した時に文京学院大学を訪ねるという選択肢を得ることになります。誰も知らなければ文京学院大学を訪ねるという選択肢はありませんから、人を知らなければそこに行く可能性はないことになります。人を知ることによる人生で得るものの差は大きいことが分かると思います。

以上のような内容です。楽しいインタビューの時間を過ごすことができました。

ライブ打ち合わせ

坂本つとむさんとケンイチ大倉さんが出演するライブが、今春和歌山市内で以開催される予定です。その企画について打ち合わせを行いました。通称「つと・ケン」の和歌山市でのライブは、平成27年は三回開催しました。平成28年では和歌山市で初めてライブとなります。春から音楽で和歌山市を盛り上げていくために今から企画と準備を進めています。