活動報告・レポート
2016年1月26日(火)
委員会視察二日目

大雪の中の行政改革・基本計画等に関する特別委員会視察は二日目を迎えました。宿舎を出るとやはり積雪で、午前中の行程を変更することになりました。今日の午前に訪問したのは、大分県日田市にある日田発電所で、ここは株式会社日田ウッドパワーがバイオマス発電事業を行っています。

委員会視察二日目

この日田発電所は平成18年11月から運転をしているもので、事業費は45億円、発電出力は12,000kW、燃料に木質チップを年間12万トン使用しています。一日当たりに換算すると360トンの木質チップを利用していることになります。 このバイオマス発電所の特徴は、燃料となる木質チップをリサイクル材、未利用材、一般木材の三種類を使っていることにあります。内訳は未利用材が40パーセント、一般木材が10パーセント、リサイクル材が50パーセントとなっています。

ここで注目すべきところはリサイクル材が50パーセントあることです。一般的に森林資源を活用した時に発生する間伐材をベースとするのですが、ここではリサイクル材をベースとして活用していることが大きな特徴です。地元で家屋や建物を解体した時に発生する資材を事業者から譲り受け、釘や鉄類を除去した後の木材をチップに加工し、発電用燃料として使用しています。この廃材の供給を受けるシステムが確立していることで燃料を安定的に確保できているのです。

委員会視察二日目

国内の間伐材だけでは最大出力を出すために必要なチップが確保しにくい状況もありますから、廃材を利用することをベースにすることを事業開始当初から決めていたことに先見性があると思います。何故なら、木質チップを安定的に安価に確保することがバイオマス発電の成否を握っています。燃料を安定的に受け入れるしくみを確立させていることがこの事業が成り立っていることになっています。しかも平成23年度にはこの発電所の単年度収支は黒字化を達成していることから、如何に安価に安定して木質チップの供給を受けているかが分かります。

委員会視察二日目

燃料の供給は日田市を中心に100km以内の場所から運搬しているのですが、その距離が採算の合う限界となります。これ以上離れてしまうと輸送コストが増大することから採算が合わなくなるので、供給対象外の地域となります。このことからもバイオマス発電が地元経済に貢献していることが分かります。また発電所の雇用は24名で、ここでも地元雇用に大きく貢献しています。

発電所立地においては地元との共生が不可欠ですから、日田発電所は地元と共生する発電所として地元の皆さんから受け入れられています。再生可能エネルギーはこれからも増えていくと予想されていますが、今後は太陽光よりも風力やバイオマス発電が有力な発電方法となります。日田市のバイオマス発電モデルが全国に展開できるようになれば良いと思いますし、森林資源のある和歌山県でも是非とも実現させたいモデルであると考えています。

委員会視察二日目

そして午後1時からは日田市バイオマス資源化センターを訪問しました。ここは日田市が運営している市の施設で、家庭用と事業用ゴミ、豚の糞尿や焼酎粕、食品加工残渣を燃料としています。つまり日田市が運営している一般廃棄物処理施設であり、産業廃棄物の処理も合わせて行える施設になっている点が特徴です。このことからセンターは廃棄物処理と再資源化を目的としており、発電事業は副産物となっています。

しかし結果として再生可能エネルギーの固定価格買取制度により、年間約5,500万円の収益を得ていていることから、本事業の収支の改善につながっています。

家庭用ごみの処理と、日田市の産業である養豚と焼酎製造のから出る糞尿と焼酎粕を処理する必要性に迫られ、それを燃料として活用するためにバイオマス資源化センターを建設した経緯があります。直ちに和歌山に導入できるものではありませんが、ゴミ処理をバイオマス発電につなげることで、コスト削減と収益を生み出すことになる取り組みは参考になります。

以上のように二日目は、バイオマス発電施設の視察となりました。