「挨拶や演説を聞くとその人物が分かります」という話を聞かせてもらいました。この方は金融機関の方ですが、経営者や政治家の話を聞くことで資質が見抜けるという話です。良い挨拶は「聞いていてメモを取りたくなる」挨拶だそうです。挨拶の中で琴線に響く言葉や自分が話すときに引用したいと思うような内容、または知らないことや感動する内容が含まれていれば、良い挨拶だと感じるそうです。
一般的な挨拶や原稿に書かれている通りの挨拶は心に届きませんから、挨拶の上手な人と比べると格が落ちるということです。
また聴衆に対しての気配りのある挨拶ができる人も素晴らしいと話してくれました。気配りとは、何人か挨拶の壇上に立つ場合、先の人の挨拶の内容と重ならないように配慮することや、会場の空気を読みながら挨拶の時間を調整できることを意味しています。
一例として、和歌山県では平成27年に紀の国わかやま国体が開催されました。平成27年は三人が挨拶をすると、この地元開催の国体の話題を挨拶にするケースが多くありました。同じ話題が続くと聴衆は飽きていますから、話している内容が心に沁みこんで来なくなります。そのような話題の重なりに注意したいと思います。
もう一つが時間です。挨拶の時間配分がされている場合であっても、先に挨拶をした人が長い時間を使っていたとします。会場は挨拶を聞くことに疲れていることがありますから、その場合は挨拶の時間を短くすることが配慮となります。本人は言いたいことが言えないから物足りないと思いますが、会場にとっては全体として時間が超過することを気にしていますから、短めが丁度良い話加減となります。
挨拶や演説は内容が大事ですが、時間配分や会場の空気を読むことも大事なことです。人によっては挨拶や話の内容によって人物を評価することがありますから、人前で挨拶する機会を大事にしたいものです。
岸和田市を拠点に活躍している経営者がいます。いつも可愛がってもらっているのですが、平成27年に70歳を過ぎたことから、昨年度末に代表権を返上、会社業務から引退し個人の立場で社会貢献を行っています。
「仕事は好きだから続けますが、利益を追求することから地域社会に貢献することを目標に変えました。これからはお世話になっている地域の皆さんにお返しをしたいと思っています」と話してくれました。ビジネスを通じて利益を得て、地域の方を従業員として雇用しています。事業拡大や設備投資などで借入していた金融機関からの借入金を全て繰り上げ返済し、借金をゼロにして会社の後継者に全てを譲り渡しています。
この経営者は、これまでも仕事を通じて地域社会に貢献してきたのですが、これからは仕事以外の部分、岸和田市ですから、だんじり祭りの盛り上げと継承や、地域が高齢化していることから、高齢者のこれからの生活を豊かにするお手伝いをしたいと抱負を語ってくれました。幼稚園のような、高稚園と呼べるような楽しい時間を過ごせる施設の運営と目指しています。
「お金よりも大切なモノがあると思います。これまでは、仕事を通じて私は幸せな人生を過ごさせてもらっています。これからは私が関われる人に幸せになってもらいたいので、地域活動を通じてみんなの幸せを実現したいと思っています」と笑顔で話してくれました。
そのためご自身もライオンズクラブに所属して地域社会への貢献を継続していますし、倫理法人会の顧問として若手経営者へのノウハウの継承などを実践しています。引退ではなくて、これまでの仕事の舞台から地域社会貢献へと役割が更に一段高いところに上ったようです。