金融機関の方と勉強会を行いました。主に中小企業金融についての意見交換を行いました。和歌山市内には優れた技術を持つ企業があり、業績が良くて事業を拡大したいと相談に来ることがあるようです。しかし和歌山市内には必要なまとまった土地が確保できないことが多く、工場面積を現状から広げられないという問題があります。
そこで現在は和歌山県外に新工場を建設することが多く、中でも関西では福井県に新工場を立地しているケースが多いようです。福井県は工場敷地と流通に必要な道路網インフラが整っていること、福井県の支援体制が充実していること。京阪神向けの物流拠点として利便性が高いことなどが立地している要因です。
「和歌山市内に新工場を立地してくれるなら融資をしたいのですが、和歌山県外なので対象外になります。和歌山市としてとてももったいないことだと思っています」と話してくれました。
工場新設という投資の機会が失われていると同時に雇用機会も失われている事例を説明しました。和歌山市内に本社があり工場がある時は、主に和歌山県内の人材か和歌山県出身でUターン組を採用していました。地元雇用か和歌山県出身で、故郷で仕事をしたい人材を採用してくれていたのです。ところが福井県にも新工場を立地してからは人員募集を全国に向けて拡大しました。そうしたところ全国の有名大学などから応募があり、和歌山県出身者の雇用が難しくなっています。その企業の人事担当に「和歌山県に若い人材に残って欲しいので地元出身者を優先的に雇用してくれませんか」聞いたことがあります。
その答えは「和歌山県に本社がありますから地元出身者を採用したいと思っています。しかし募集を全国にしたことから、当初、予想していなかったことですが、東京大学や京都大学を始めとする有名大学の学生が応募してくるようになったのです。テストを採点して順位づけするのですが、それらの大学出身者の成績は高いので、どうしても地元の学生を採用する枠がなくなっています。企業ですから優秀な人材を確保することが将来に備えて必要なことであり、本当は地元のお役に立ちたいのですが、成績順に人材を確保していることから、なかなか地元枠を設けることはできないのです」と言うことでした。
和歌山県内の企業が新工場を県外に立地することは、和歌山県内への投資機会と雇用機会の両方を失わせていることになります。勿論、地元の土木、建設事業も減少していることになりますから、地域として大きな損失になっています。
和歌山県内の企業には和歌山県内に新工場を立地して欲しいのですが、適地性のある場所が確保できないことから県外に進出している現状があります。地域経済にとって大きな課題と認識しています。
お金の流れを知ることが経済動向を知ることですが、同時に投資先がどこにあるのかを知ることが将来その県が繁栄するかどうかを占っています。投資の少ない県の将来の見通しは明るくないと言えそうです。そのためには企業が新規投資できるインフラや支援体制、条件を満たした土地の確保などの環境を整えることが先決です。
もう一つは中小企業比率が99.9パーセントの和歌山県では、大企業のように円安による恩恵を受けていません。大企業は円安で利益を得ていますが、中止小企業は大企業のコスト削減が緩和されていないことから請負金額が増加していないので、利益が増えていないこと、従業員の所得に反映されていないことが地域経済を上昇させていない原因になっています。会社が利益をあげて従業員の給与が上がることが地域経済に好影響を与えることなので、それができていない和歌山県の経済はこれまでと余り変わっていないということになります。
円安の恩恵を受けられていないのが和歌山県の中小企業ですから、大企業が中小企業に出す仕事の請負金額を増やしてもらうことが必要となります。中小企業振興対策として対応すべき課題であることを話し合いました。
和歌山県は音楽活動が盛んな県であると教えてもらいました。芸能の仕事をしている方と話をしたところ、カラオケ人口とカラオケの環境が全国一整っているのが和歌山県だそうです。この数字は人口に対する割合ですが、和歌山県の方々は歌が好きな県であることを示す材料になります。
そのため和歌山県民歌がカラオケに採用されたことを喜んでくれていますし、和歌山県の歌手の歌や和歌山県を題材とした歌がカラオケ集として発刊されていることをとても喜んでくれています。
和歌山県ではカラオケが文化として定着しているようなので、カラオケを活用した音楽活動の展開を考えることも「ありかな」と思いました。勿論、和歌山県民歌を歌える人は少数派ですから、小学校の音楽で学習することから始めて、20年か30年後に和歌山県民歌が故郷を感じる歌として定着するものだと思います。
それを目指して今から県民運動として取り組みたいと考えています。