活動報告・レポート
2015年12月29日(火)
意思決定

企業では役員に報告する時は資料を持って説明するのが基本です。ところが説明資料ばかり重視することで、従業員の真の意見やお客さんの意見が伝わらなくなることもあります。あまりにも多くの役職が通ることで本当の情報を加工し過ぎることがあるからです。聞こえては不味い意見や、上司に知られない間に現場で対応して解決を図りたいと考える案件は役員まで伝わらないことがあります。

また予算が伴う解決方針はりん議書によって意思決定を仰ぎますが、決裁までに相当の時間を要することがあり、現場の事情や意思決定が遅いことによって相手の気持ちが変わってしまうこともあります。

情報の速度が著しく速い現代社会で生きるためには迅速な意思決定が勝敗を決することになりますから、意思決定の遅さは企業活動にとっての大きな欠点となります。権限者の意思決定までに多くの階層を踏む手続を取る企業は、トップと直結している企業と比較して後手に回ります。意思決定までの期間が一か月を要する企業と、翌日に意思決定ができる企業が勝負をするなら、金額という大事な要素を抜きにすれば意思決定の速い企業が常に勝つことになります。

金額に関しても、意思決定速度に一日と一か月の差があれば、速度を優先する企業も増えてきます。一か月待って期待する金額の提示があるとは限らないからです。

現代企業にとって意思決定速度は勝敗を決する鍵であり、何重にも決裁を重ねていく企業は生き残るために階層を減らすとか、権限者が現場に近いところに行くなどの組織改正が必要となります。

前述のことは、インターネット系の企業と伝統的な企業に所属した経験を持つ人が話してくれたことを極端に要約したものですが、意思決定できる体質も企業文化であり企業の持つ大切な資源だと思います。

トップや役員は複数の視点を経て加工された書類で報告を受けるよりも、直接担当者から話を聞く方が新鮮で本当の情報を聞くことができます。トップは垣根を作らないで、担当者が話せる環境を作ることも役割だと言うことです。インターネット系の企業では役員も担当者と同じ執務室に座り、気軽に大事な報告を受けていると聞きました。

商品開発のスピード、お客さんが望んでいることを企画に取り入れる速度、そして市場に投入する時期の判断など、意思決定の速さが企業のこれからを左右することになります。

現場のことを一番知っているのは担当者です。お客さんの声を一番聞いているのは営業の人達です。大切な情報に一番遠いところにいるのがトップなのです。書類を見るのではなくて担当者とコミュニケーションを図ることが、間違いが少なくて迅速な意思決定につながると思います。