活動報告・レポート
2015年12月5日(土)
視察初日
視察初日

今日から二日間の鹿児島県の視察に出掛けています。初日は川内発電所の視察です。原子力規制委員会の承認を得て再稼働をしている、現時点で唯一の原子力発電所を視察して、エネルギー問題や地域社会との共生について意見交換を行いました。

まず、今回一緒に視察した皆さんから感想を聞かせてもらいました。

  • 安全性に関しては、これ以上はできないというレベルで対策を講じていることが分かりました。この安全対策が再稼働につながっていると思います。万全を喫した安全対策と地元の理解があって再稼働ができていることは、立地の時から続いている地元との信頼関係に基づいたものだと思います。
  • 技術的なことは分かりませんが、信頼できる人がここで働いているから、命を懸けて仕事をしているから再稼働が果たせたと思います。技術力よりも人間力が社会では大切だと思います。

代表的な意見を記載しましたが、技術面よりも地元で受け入れられていることが再稼働の絶対的な条件です。地元がNOと言うなら、どれだけ高い技術力を持っていたとしても採用されることはありません。地元を大切にしていること、地元との信頼関係が続いていることが社会で受容されるための条件です。

 つまりその仕事に関わっている人によって地域社会との関係が違ってくるのです。今の時代、上場企業が社会に悪影響を及ぼすようなシステムを導入することはありません。それが実現できるか出来ないかは関わる人によって違ってきます。

安全対策は当たり前で、それを説明し理解してもらえることができる信頼関係があったことが再稼働につながっていると感じました。

視察初日

信頼関係に関しては、川内市には原子力発電所と火力発電所が立地しています。恐らく、これまで大きなトラブルがなかったこと、小さなトラブルは報告するなどの信頼関係ができていると思います。川内川の両側に火力発電所と原子力発電所が並んで立地している光景がありました。川を挟んで両側に発電所がある光景を見たのは初めてで、主観ですが、この光景にこれまでの信頼関係を感じました。

発電所が景色の中に溶け混んでいるのです。初めて訪れた場所ですが、そこには違和感がなく自然な光景として見ることができました。危ないものや危険と感じるものは、違和感があるものですが、川内市ではそれを感じませんでした。技術力を確保して安全対策を講じた後は社会と共生できているかどうか。社会との共生とは、事業者と地域社会との信頼関係があること、景色の中に調和していること、そして感覚として違和感がなく自然に思えることだと思います。

長い時間を掛けて築いてきた地元社会との共生関係が根底にあり、それが再稼働に結びついているように思いました。

エネルギー資源に乏しくて、技術立国として大量のエネルギーを必要としているわが国で、現在も将来においても最重要課題の一つがエネルギーの需給をどうするかです。十分なエネルギーを確保することが、生活も経済も競争力も維持することになります。新しい技術を開発、導入していくことと、現在ある技術で社会に存在しているものを最大限活用することが、必要だと考えています。

現在、日本でたった一つ動いている原子力発電所を視察、意見交換を行って、また地元との調和の光景を見て、エネルギーを作り出すことの難しさと責任を感じました。代替案があればその方法を考えるべきですが、技術と資金の具体的な代替案がなければ専門的見地を要している人の意見を尊重し、社会全体としてどうあるべきか考えたいものです。