平成27年12月県議会定例会の補正予算案です。12月県議会定例会は12月2日に開会しますが、そこで総額15億1,600万円補正予算が組まれています。補正後の和歌山県の予算額は約5,902億4,300万円となります。
その中で郷土教育推進のため、県内の高校生を対象として映画「海難1980」の鑑賞を実施する計画があります。この映画の舞台のひとつは串本町であり、郷土の歴史を知ることで誇りを持つためにこの映画を高校生に観てもらうことを計画しています。その予算が、約2,546万円となっています。「海難1890」はエルトゥールル号の乗組員を救助した串本町を描いています。この行為が、のちにテヘラン空港閉鎖の時のトルコ航空による日本人救出へとつながるのです。歴史は断片的に片付いていくものではなくて、後に続くドラマ性を帯びています。人の心が歴史と地域を超えて伝えられ、後の世代の人がそのつながった心に応えるのです。歴史は人が創るものですから、単に事件や事象ではなくて心が込められたドラマになっています。
私達が歴史から学ぶことは、歴史のドラマに秘められた人の心や思いを知ることにあります。年号を覚えることや人名を暗記すことが歴史を学ぶことではありません。人間が織りなしたドラマを見て、人の心を学び自らの行動に反映させることが歴史から学ぶことだと思います。今回の映画鑑賞は故郷を知る、所謂、故郷教育であり、現代日本人に伝えられた心を知ることとなります。優れた映画から故郷を知り学ぶことができると信じていますので、補正予算化してくれたことに期待しています。
そして和歌山電鐵貴志川線を支援するため、設備の更新と修繕費用への補助金として、約4億5,466万円の補正を考えています。向こう10年間の設備更新と修繕費用を和歌山県と和歌山市、そして紀の川市で負担することで、地方鉄道が地域に存続し続けてくれることになります。新年度の当初予算ではなく、今回、補正の決断してくれたことを支持しています。地元自治体として早期に支援体制を整えることで、運行事業者がこれから先も安心して運行できる環境を整備できると考えています。
この貴志川線に対する支援も期待通りです。貴志川線は直近の10年間、沿線住民に対しても、観光行政に関しても多大な貢献をしてくれています。地方鉄道は単なる通勤や通学の手段ではなくて、地域になくてはならないものであり、地方鉄道が観光資源になり得ることを教えてくれたからです。
もし貴志川線が10年前に廃線となっていたことを考えると、貴志川線の存在意義が分かります。
- 沿線の方々の通勤と通学手段が奪われ、沿線の道路の渋滞と沿線の開発が進まなかったことが予想できます。
- 高齢社会を迎えている和歌山県にとって、10年前よりも公共鉄道の存在価値は高まっています。今では無くせない地方鉄道になっています。
- たま駅長やユニークな電車は誕生していませんでした。観光資源になることもなく経済効果もありませんでした。台湾の貴志川線の人気は高く、台湾から夏休みに来てくれた学生からも「一番行きたいところは貴志川線」だと答えてくれた程です。
- 国際社会から地球環境問題への対応が言われていますが、公共鉄道は地球環境や地域の環境に貢献するものです。廃線をしていたなら、大手を振って環境問題に取り組んでいる県など言うことができませんでした。
平成27年12月県議会定例会では大きく二つの補正予算案が提案されますので、和歌山県に誇りと元気を与えてくれるものなので前向きに審議したいと考えています。
- 意見交換会に出席し、県内の諸課題について報告しました。課題を共有できる良い機会となりました。
- 夕方からは二つの懇親会に出席しました。それぞれ一年の活動を総括し、とても良い交流機会となりました。