和歌山県民文化会館で開催された海草・向陽創立100周年記念式典にお招きをいただき参加しました。昨年に実行委員会を発足させ、今日の日を迎える準備をしていた式典であり卒業生の一人として、この式典の日を迎えられたことはこの上ない喜びです。1915年に海草中学校が誕生してから100年目を迎えた今年は向陽高校にとって特別な年を刻んでいます。在校生も卒業生も、この歴史と伝統の重みを感じていますし、この高校で学び、卒業したことに誇りを持つことができているからです。
現役の吹奏楽部の生徒の皆さんが、オープニングテーマと国歌、県民歌、校歌を演奏してくれました。全国レベルと評判の吹奏楽部の演奏を聴いて「頑張っているね」と心でつぶやきました。文武両道、質実剛健が向陽高校の目指している高みですが、その道を歩いている現役の生徒の姿を見て嬉しく、励ましたくなりました。
「こんな眩しい年齢の時もあったんだ」と思い、「これから無限の可能性があるよ」と伝えたくなります。今は勉強する時期ですが、この時代に経験することは社会人になった時に役立ちますし、大切な宝物に変わっています。
挨拶に立った生徒会長は素晴らしい態度で話をしてくれました。
「100年というと簡単に聞こえますが、多くの先輩が刻んできた向陽高校の歴史がなったものです。先輩達がここで学んできたことが、そのまま伝統となり歴史になっています。それぞれが文武両道や質実剛健を目指してきたことが伝統となり、今に残されているのです。
先輩に直接会って話を聞くことはできませんから、伝統をどう受け継ぐか考えました。現役である私たち生徒は、その伝統を受け継ぎ、この先の100年につなげていく役割を認識することが、伝統を守り引き継ぐことだと思います。現役生が自分の思うままに過ごしていると伝統は失われることになります。向陽高校は中学校も併設していますから、高校三年生にとっては自分よりも6年年下の生徒が私達の姿を見ていることになります。私達が100年の伝統を受け継いでいるものであり、101年目の一歩を刻む人であるのです。今から100年後には、いま101年目を迎えようとしている私達が歴史と伝統の先駆者となるのです」。
生徒会長が話した内容と全く同じではありませんが、僕が受け止めた内容は以上のようなものでした。これは卒業生である私達にも当てはまることです。向陽高校の卒業生はいつまで経っても向陽高校の卒業生ですから、誇りある伝統を背負っています。誰からも、「向陽高校の卒業生は素晴らしいね」と言われるような言動を取りたいと考えています。
さて海草・向陽創立100周年記念事業実行委員長が挨拶の中で「校歌を歌って涙が出てきました」と話してくれました。多くの卒業生は同じような気持ちになったと思います。懐かしくて、あの頃を思い出させてくれるものだからです。卒業してから校歌を聴いたのは、高校野球の春の甲子園大会に21世紀枠で出場した時に一回戦で勝利した直後のスタンドでした。あの時「校歌って好いな」と思いましたが、今日も同じように感じました。校歌には閉じ込められていた感情を解き放つ効果があると思います。何も持ち合わせていなかった高校生のように、心の全てを解放されてしまいます。この解放感の自由さと身軽さが心地良いと感じるのです。
僕が高校三年生だった18歳は今から36年前のことになります。もう遥か遠く過ぎ去った時代ですが、今も身近で見守ってくれているようにも感じます。母校とはよく言ったもので、何も言わずに今も、そしてこの先の人生の安全を守ってくれている母親のような存在にも感じます。和歌山県民歌に「故郷は常に微笑むよ」とあるように、母校は常に微笑んで卒業生を守ってくれる存在なのです。
100年の時を刻んだ平成27年11月21日を忘れることなく、高校時代という青春を過ごした向陽高校に対してあの頃も、そして今も「ありがとう」と伝えます。良い人生を過ごせているのは母校の影響が大きいと感謝しています。
JR和歌山駅西口で毎月開催されているのがフリーマーケットです。新鮮な野菜やお花などが販売されています。時々、街の活気を確かめるために出掛けるのですが、笑顔と威勢の良い声に出会うことができます。行きかう人達の笑顔がこの街の元気を創っているのです。街の賑わいを感じさせてくれる市場と同じような空気を感じることができました。