活動報告・レポート
2015年11月12日(木)
金融保証
紀の川市の柿
紀の川市の柿

和歌山県は果樹王国ですが、その中でも紀の川市はフルーツ王国を自他共に認めています。そんな紀の川市の柿を紹介してもらいました。和歌山県内ではかつらぎ町の柿が有名なのですが、紀の川市の柿も忘れてはならない存在です。フルーツ王国が送り出している柿を県内外にも紹介したいと思います。

金融保証

金融保証協会の役割は重要だと考えていますが、和歌山県金融保証協会の場合、保証額が減少傾向にあるようです。その主な理由は、1.中小企業の数が減少していること。2.金利競争が始まっていること。3.金融庁が金融機関に対して担保主義ではなく企業の成長などの目利きをして保証を外して貸出するように指導していること。などが原因です。

和歌山県内で中小企業が減少していることは周知の事実です。働く場所が減少していることや雇用機会が少ないことは地元企業や事業所が減少しているからです。保証額が減少しているのは、地元企業が減少していることが直接響いています。

金利競争は関西においては大阪府下で激しさを増しています。金融機関が優良な貸出先を確保、または増やすために低金利、長期契約で融資する競争が始まっています。金融機関が貸し出したいと思う企業に対しては、保証を外してプロパー融資をしているのです。

保証を外すことは言うまでもなく金利軽減になりますから、借り受ける企業にとって保証を外してもらう方が嬉しいのです。和歌山県金融保証協会の場合の一般的な保証料は1.3パーセントですから、金融機関の金利に1.3パーセント上積みされることになります。仮に金融機関の金利が1パーセントや2パーセントだとすると、そこに1.3パーセント上積みされることに重みを感じます。

高度成長期であれば、金融機関の金利は5パーセントや6パーセントありましたから、そこに保証料として1.3パーセント上積みされても負担感は少なかったのです。ところが金利が低下している今日において、1.3パーセントの保証料は高いと感じるようになりました。

企業は、できるなら保証料を外してもらいプロパー融資をしてもらいたいと思っているのです。但し、金融機関は優良企業に対してプロパー融資を行いますが、そうでない企業に対しての融資は慎重です。貸し出しに際して金融保証協会の保証を付けるにしても、保証は80パーセントですから、20パーセントは金融機関の責任となります。貸し倒れが発生した時には金融機関の不良債権が増えることになりますから、保証付きと言ってもどうしても慎重に審査することになります。

金融機関は融資をするのであって資金を回収しなければなりません。業績の良くない企業に対しての融資はリスクが高いため、慎重になることはやむを得ない時もあります。

金融機関にお金がダブついているにも関わらず、融資が拡大しないのはそのためです。

企業にとっても借り受けることに慎重になっている一面があります。リーマンショックのトラウマがあるからです。リーマンショック当時、政府は企業向けの融資に関して緊急保証を行いました。80パーセントの保証を100パーセント保証に変更し、また保証の上限は2億8,000万円ですが2倍まで枠を拡大しました。当時、緊急保証を受けた企業が生き残っているのです。

和歌山県の場合、保証承諾率は増えていますが保証残高は減少しています。このことは、金融機関からの依頼に対して積極的に保証しているのですが、前向きな投資に対してのものではないことを意味しています。しかし和歌山県の保証協会の良いところは、保証承諾率が伸びていることと保証残高の減少率が全国一少ないことにあります。

他府県の場合、保証承諾率は減少し、保証残高も減少していくことが一般的な傾向にあります。

和歌山県のように保証承諾率が増えているということは、借り換え需要に対応しているということです。そして保証残高が減少しているということは、設備投資などの成長に必要な前向きな投資が減少していることを示しています。

つまり和歌山県の場合、借り換え需要に応えていることで企業が必要としている資金を供給していますが、その資金は、運転資金などのように現時点において必要な資金を調達することが主な借り受け理由となっています。

ある企業の保証残高が2,500万円あり、今般、借り換えで3,000万円の保証を受けたとします。この場合、実際に自由に使える資金は500万円ですが、返済が毎月100万円だったものが50万円に減額するなど、企業にとって資金繰りが楽になるのです。

このように、和歌山県内で企業が減少していることと、新規融資は設備投資ではなくて運転資金の融資が増えていることが保証残高を減少させている原因となっています。

金融機関の立場に立つと優良企業に対しては融資を行いたいと考えます。しかし滞納のリスクが高いと評価する企業に対しての融資はしたくないと言うことになります。従って企業に対しては、成長力と商品力、利益を上げるための経営計画や経営者の資質などを求めることになります。それらの要素がない企業に対しては、お金がダブついているとしても融資対象とは考えないのです。金融機関にとっての商品はお金であり、回収するのもお金という一般企業とは違う価値を有していますから、お金の動きには敏感になっています。

企業は社会で生きています。社会で存在する理由がなくなれば、その企業や組織は社会で生き残れません。社会での存在理由が明確で、経営者がそのことを金融機関に説明できるなら融資は受けられます。存在理由がなく経営者の熱意もない場合、金融機関は融資を断ることになります。融資を受けられない企業の側にもその原因があるのです。