活動報告・レポート
2015年11月3日(祝・火)
津波防災の日記念行事
津波防災の日記念行事
津波防災の日記念行事

津波防災の日を記念して、湯浅町庁舎で津波防災講演会とライオンズクラブからのライフジャケット寄贈式典が行われました。講演会は、防災に関しての第一人者の一人である、群馬大学大学院理工学府の片田敏孝教授を迎えてのものでした。片田教授の話は分かりやすくて、しかも人間愛に富んでいることが特徴です。強さと優しさを秘めた防災の考え方について教えてもらいました。

南海トラフ巨大地震に伴う津波被害の予測がされたことを受けて各府県では対応を急いでいますが、自然界の出来事なので急に津波が巨大化したものではなくて、想定が変わっただけのことです。想定が変わっただけのことなので怯える必要も、慌てる必要もありません。必要以上に怯えて準備をするなどして心配を増幅させることは不健全なことで、健全な精神状態ではありません。

和歌山県で生活をしている限りは津波到来も予測できるので、そのことに注意することは作法と考えるぐらいが良いそうです。不健全な心配をするよりも健全な心で日常生活を楽しむことを前提に、万が一の時はとにかく逃げるという行動をすることです。

「対策は万全なのか」や「行政は助けてくれるのか」などの不平や不満を抱えていても、完全な津波対策はありませんから、まず自分で逃げ延びることを心掛けたいところです。

行政の不満や不平を感じていても不健全なだけですから、自分でコントロールできることに力を発揮すれば良いのです。1000年に一度の地震と津波の到来を心配していても自分でコントロールできないことなので仕方ないことです。全体の安全対策だけではメッシュが荒いので不安に感じることがありますが、行政の対策に不満を感じていても自分だけのために行政が動いてくれることはありません。県全体と地域社会における安全確保のしくみと考え方を講じてくれるので、個人としては自助の考え方で逃げる方法を考えておきたいものです。

高知県の黒潮町は南海トラフ地震による津波想定は日本一の34メートルになっています。この巨大津波が襲ってきた場合、地域にもよりますが、到底、逃げ通せるものではありません。そのため不安を感じながら生活をすることになりそうでした。そこで片田教授が黒潮町に対して「不安を感じていても来るものは来ます。しかし1000年に一度の規模の想定です。もし3000年に一度の想定にすれば、もっと津波高は高くなります。想定を前にして慌てていても行政の仕事は進みません。やれることをやれば良いだけのことです」とアドバイスを贈ったのです。

津波防災の日記念行事

1000年に一度の津波想定を恐れているよりも、それを地域興しにすれば良いと考えた行政は、地場の産品を缶詰にして販売を開始し始めました。防災用の観点から缶詰にしていますが、そこには34mの文字が印字されています。想定される津波の高さである34mをブランド化させたのです。日本一をブランド化させて缶詰の製造に着手した発想は、前向きです。

想定される津波を前にして、不安を抱えて何も手がつかないでいるよりも、できることを実行することが地域のためになります。想定は想定ですから、誰にも津波の到来時期や襲ってくる津波の高さは分かりません。逆転の発想で黒潮町は活気を取り戻していると話してくれました。

不安を感じるよりも安心を感じる方が楽しくなります。心配をしているよりも希望を感じている方が活き活きとした生活ができます。行政に完璧な対策を求めるよりも、自分ができることは何かを考え、いざという場合に実行できるようにしておく方が実効性はあります。どこにいてもリスクは付きまといます。リスクに振り回されないで自分の人生を楽しむべきです。

防災対策とは何かという難しい講演ではなくて、防災を考えることは生き方を考えることだと教えてくれたように感じます。

ライフジャケット贈呈
ライフジャケット贈呈

講演会に引き続いて、ライオンズクラブ国際協会335B地区から、湯浅幼稚園長に対して、ライフジャケット100着を贈呈する目録の贈呈を行いました。中村地区ガバナーから松下園長先生に対して贈られました。

地区役員と和歌山県のライオンズクラブ役員が揃っての贈呈式典となりました。津波防災の日の式典の場で、贈呈式典を行えることはライオンズクラブの凄さだと感じました。和歌山県とライオンズクラブ335B地区とのライフジャケット贈呈の協定に基づいて、ライオンズクラブとして和歌山県内で津波被害が想定される地域の幼稚園、保育園、小学校と中学校にライフジャケットを順次贈呈していく計画になっています。その第一弾が今回の贈呈となりました。

ライオンズクラブとして、日本で最初のライフジャケット贈呈が本日の式典の場になりました。和歌山県にとってもライオンズクラブ335B地区にとっても、誇りと自信を持てるアクティビティとなりました。

ライフジャケット贈呈

湯浅幼稚園の子ども達からのお礼の挨拶を聞いて、「この計画を実施して良かった」と感じました。「ありがとうございます。ライフジャケットで命を大切にします」という小さな子ども達の大声での挨拶は可愛くて心に残るものでした。

中村ガバナーは「実行して本当に良かったと思います」と、笑顔で話してくれました。

関係者一同が満足感に浸れた式典となったことを嬉しく思います。