今朝から福井県に向けて出発しました。和歌山市の活性化を考える皆さんと、福井県にある大飯発電所の視察見学を行いました。久しぶりの施設見学でしたが、実際に現地に行くことで得るものがあります。
案内してくれた方からの言葉で印象に残ったことがあります。「一から原子力工学を学ぶためには4年から6年の時間が必要です。それを1時間足らずで説明して理解をしてもらうことはできません。しかし関心を持ってくれるだけで大きな前進だと思います」という言葉です。
どんな分野でも同じですが、専門知識を得るためには数年の時間が必要となります。専門家が基礎知識から専門知識までを習得するまでに要する時間に対して、専門外の人は数時間で恩時だけの知識を得ようと思うことがあります。そのため「専門家の話は分からない」や「もっと丁寧に説明しなければ理解できない」などの意見を聞くことがあります。
しかし専門的な話を理解するためには、最低限の予習や下準備が必要となります。知識がないまま説明を聞いても、話の内容は理解できませんし質問することもできません。エネルギー以外の分野でも同じことが言えますが、とにかく自分である程度の基礎知識を習得しておかないと、専門的な話は理解できないのです。勿論、専門家の方々は理解できるように極力分かりやすい言葉で説明してくれますが、簡潔化すれば分からないところもありますから、専門知識を短時間で理解することは難しいところです。
ですが現場に行って説明を聞くだけでも意味があります。無関心のことや報道されている社会問題に関心を持つことになるからです。知らなければ学ぶことができますが、関心がなければ学ぶことはできません。現場に行き説明を聞くことは、関心を持つことにつながりますから、自分で問題を考えることにおいて大きな意味があります。
どんなことでも最初の一歩は大きな一歩となります。最初の一歩を踏み出すことで周囲は動き始めるからです。行動することや関心を持つことが、情報を集めるために必要な行為なのです。行動と関心によって欲しいと思っている情報が集まり出すのです。行動と関心によって、これまで見逃していた情報が飛んでくるようになります。
今日のような原子力施設を見学することで、明日新聞を開くと原子力に関する記事が飛び込んでくるようになります。これまで見えなかった記事が飛び込んでくるようになり、これまで読まなかった記事を読むようになります。これが専門知識を得るために必要なことですから、最初の一歩を踏み出すことは、例え現段階で分からなかったとしても、分かることにつながる一歩となります。
このように「関心を向けると情報が集まり出す」法則を知って欲しいと思います。誰でも最初は素人ですが、行動と関心を示し始めてから数年も経てば、それなりの知識を得ることができます。
皆さんからたくさんの意見をいただきました。主なものは以下の通りです。
「実際に来て良かった。現場で感じるものがありましたから報道にも関心を向けられます」。
「現場に来なければ分からない感覚があると思います。大きな視点で考えるものがエネルギー問題だと思います」。
「エネルギーや鉄鋼産業は国家の根幹だと思います。これをしっかりとしたものにしなければ国家の力は弱体化すると思います。基幹産業の力を弱めるようなことには反対です」。
皆さんから頂戴した意見と考えを受け取りました。私たちの生活を考える上で欠かせないものがエネルギー問題だと思います。将来を見据えた選択をしたいと思いますが、そのためには知識を得て現状を知ることだと考えます。有意義な施設見学となりました。