活動報告・レポート
2015年10月8日(木)
建設委員会視察

午前10時、伊丹空港から仙台空港へと向かいました。建設委員会による宮城県仙台市を中心とした地域を視察することが目的です。

建設委員会視察

本日は、仙台塩釜港の津波対策、津波避難タワー、仙台湾南部海岸堤防復旧工事の現場などを視察しました。東日本大震災で被災した地域は4年7ヶ月を経て、復旧から復興、そして現在は再興の時期に入っています。まちづくりに関して10年間の目標を掲げ、着実にまちが再興している様子を聞かせてもらいました。

この復興から再興に向かう過程で考え方を統一しています。再び、津波が到来する可能性があることを前提に災害に強いまちを目指していることです。仙台港は東北における海外、国内の物流の重要拠点となる港なので、この場所から移転させることはできません。そこで地震や津波に強い港湾施設として整備を行っています。

一つ目は、津波防災対策として職場と住居を分離させていることです。津波による浸水被害の少ない地域に住宅地域を配置した港湾にしています。

二つ目は、多重防護の考え方を取り入れていることです。海岸部の堤防だけではなく、内陸部の高盛土構造の道路の建設により港湾地域を多重的に防護しています。

そして海岸保全施設の復旧方針を定めていることです。全ての人の命を守るという理念の下、津波レベルを二つに分けています。津波レベル1は、数十年から数百年に一度の津波を対象として海岸保全施設によって命を守ることを目指しています。具体的には防潮壁を整備することです。

津波レベル2は、津波防護レベルをはるかに上回り。構造物による対策の限界を超過する津波に対して命を守るために必要な最大限の処置を行うことにしています。まちづくりと一体とした多重防護。避難路、避難ビル、避難タワーを整備すること。防災情報を提供するシステムを充実させることなどを対策として掲げています。

国際拠点港湾である仙台塩釜港の機能を回復するための復興と再興の現場を視察して、復興の力強さと港湾機能が回復していることを確認できました。日本の技術力の底力を見ることができました。

建設委員会視察

続いて仙台湾南部海岸堤防復旧工事の現場を視察しました。これは「明日へつなぐ」プロジェクトとして、現状復旧ではなく津波防災機能の向上を目指したプロジェクトとして取り組んでいます。本復旧は5年間で7.2メートルの海岸堤防を延長させ29キロメートルを整備しているところです。平成23年度から5年後ですから平成27年度で整備を完成させることになっています。平成27年9月末現在で、約92パーセントの区間で堤防工事は完成しています。

また多重防護として海岸堤防と植栽による防災緑地で津波を減殺し、続いて内陸部に嵩上げ道路を設置することで、内陸部に侵入してくる津波を更に減災するまちの構造にしています。巨大技術は安全性の確保は多重防護の考え方に基づいて設計されていますが、仙台市は災害に備えたまちづくりにも多重防護の考え方を取り入れています。

それにしても仙台市の復興の速度が速いことに驚かされました。既に被災現場は再興段階に入っていて、まちが力強く蘇っていることを確認できました。東日本大震災では全ての人の命を守ることができなかったことから、将来、また同じ規模の津波が発生した時には一人の命も失わせないという覚悟を感じることができました。復興計画の精神、工事現場の状況、関係者の話から、その覚悟を感じられるのです。

人間は同じ過ちを繰り返さないことで進歩してきたと思います。津波対策においても、平成23年の津波と同じ犠牲は出さないことを前提とした取り組みが進んでいます。仙台市の現在を直接視察できたことは意味のあることであり、この同じことを繰り返さない精神を学びたいと思います。