人の噂は怖いという話を聞かせてもらいました。和歌山県外のある市長の話です。都市開発に積極的で、事業者が申請してきた開発案件で、町の発展に資するものであれば極力許可を与えています。そのことを指して市民の間に「市長は利益誘導をしている」という噂があるという話です。一方では「市長が開発に積極的なので市に活気がある」という噂もあります。やればやるほど良い噂も悪い噂も発生することになります。
そして市長といっても市長になる前は職業を持っていますから、自営業であれば利益誘導をしていると噂を立てられることがあります。よほど大規模な工事でない限り、公共事業は入札によって市内の事業者から選ばれます。市内の事業者が選ばれると、小さな市では市長との交流がありますから、事業者との関係があるという噂が出ることになります。しかし市外の事業者に発注することになれば、市内事業者を軽視していると言われますから、人の噂を制御することは難しいものです。
大阪府下のある市では、ある分野の事業者の募集を「市外の事業者に限る」という入札の公告をしたと聞きました。聞き間違いと思ったのですが確認したところ、「入札条件を市内の事業者に限定すると市民から談合の噂を立てられるから」ということでした。談合の噂を防ぐために「応募は市外事業者に限る」という条件の入札になった訳です。結果として市内事業者の仕事と得られる利益が減少することになります。市民のレベルが市の仕事を減少させていることになっています。余りにも市長や市政への批判が強まりすぎると、結果として市民の利益を損失させていることになります。
人を批判することは、批判する人自身の信頼を低下させることにつながりますが、余りにも市長を批判すると市全体の利益を無くすことにもつながり兼ねません。市民が選んだ市長や議員です。批判をするのであれば、そうでない人を選ぶべきだと思います。市民のレベル以内に政治のレベルは落ち着くという話を聞くことがありますが、民意が政治を決定すると思います。政治と民意レベルの関係については考えてみたい問題です。
法律家と懇談する機会をいただきました。法曹は物事を論理的に組み立てる習慣が身についていることを面白く感じました。事象が発生した場合、客観的事実だけを取り出して話を組み立てます。その中に個人の感想や訴え、言い訳などの話は除外していきます。
例えば「彼とは仲が良かったのですが、あの時はお酒が入っていたことから言い争いになりました。本当は言いたくなかったのですが喧嘩になり、少し気持ちが苛立っていたのです。本来の自分は、こんなことで喧嘩をすることはありませんが、その時は特別な感情が入って殴りました」という話をしたとします。この時の事実は「あなたが相手を殴った」という事実が問題なので、問題点だけをノートに書いていました。
法律家によって仕事の進め方は違いますからこれが普遍的なものではありませんが、贅肉をはぎ取っていく書き方と物事の捉ええ方はおもしろいと思い、勉強になりました。
形容詞や主観を取り除いていくと客観的な事実だけが残ります。シンプルな事実だけが残るので、解決に向けた方策が明確になっていきます。シンプルにすれば核心のところだけが残り、これからの道筋が見えていく、これはなるほどと思いました。
人が関わる事象は主観という自分を正当化する思いが入りますから、全てが事実とは言えないことがあります。発生した事実の問題点の整理の仕方の勉強になりました。
中国から友人を和歌山県で迎えました。本来であれば出向かなければ来てくれない方々ですが、これまでの交友関係から来てくれたものです。遠方より友が来てくれたことを心から歓迎し、嬉しく思いました。
さて和歌山県訪問の目的は、民間を含めた経済交流と視察団の派遣、中国への企業進出の支援と和歌山県への企業進出と案件に対する投資、そして観光客の和歌山県への送り込みと白浜空港への飛行機の乗り入れなどの話をすることにありました。
経済規模が比較的少なくて、中国を始めとするアジアからの観光客の誘客を図りたい和歌山県としては有り難い申し出だと考えています。
さらに中国人に買い物をしてもらうためのしくみにも話は発展し、和歌山県の産業振興にもつながることと期待しています。こちら側に利点がある話を持ってお客さんが来てくれた場合、積極的な姿勢を見せることが歓迎の意を表することです。申し出内容を検討した結果、仮にそれができないとなった場合でも、信頼関係は残り、人脈として今後につながることになります。
ところが申し出を即座に却下するようなニュアンスで相手に伝わると、信頼関係を築く以前の問題となり、交流にもビジネス展開にも発展しないことになります。人同士の付き合いをする場合、まずは信頼関係を築くことが一番です。信頼関係なくして物事は進まないことを知って人との関係を求めたいと思います。
大切なことは話の内容を「出来る」、「出来ない」で判断するのではなくて、出来るか出来ないかは結果論ですから、信頼関係を築くことだということです。入り口を間違えると、そこから先に進まないことを知っておきたいものです。