活動報告・レポート
2015年7月11日(土)
貴志川線

和歌山電鐵貴志川線が運行してから10年目を迎えています。廃線の危機にあった貴志川線を助けてくれたのが和歌山電鐵です。年間200万人以上の人が利用している鉄道は地域に欠かせない存在になっています。平成26年度は227万9千人の人が利用していて、対前年度比11万3千人の増加、率にして105.2パーセントの増加となっています。

乗車での特徴は、香港、台湾を中心とした国からのお客さんが約4万3千人もいることです。対前年度比で184.4パーセントの増加となっているのは、スーパー駅長のたま駅長の人気によるものだと思います。

また利用促進を図るため「チャレンジ250万人」運動を実施していることも、利用者増加の要因だと考えています。

そして通勤や通学の定期客の増加による利用者増加によって、貴志川線は地域の公共交通としての位置づけが明確になっていると考えています。平成28年2月には貴志川線開業100周年を迎えることになり、平成28年4月には和歌山電鐵開業10周年を迎えることになります。

そして現在、最大の問題となっているのが、平成27年度で和歌山市と紀の川市からの補助制度の最終年度となることです。赤字化の脱却と経営の自立をすることが存続のために必要なことですが、平成28年度以降も設備の老朽化対策のコストが必要とされることから補助制度がなければ存続の危機を迎えることになります。平成26年度の経常損失は約64百万円となっているように、まだ赤字からの脱却はできていません。現状の支援制度は年間最大82百万円で、これを10年間継続していることから最大8億2千万円までの補助を和歌山市と紀の川市で負担していることになります。

現在、地元地方自治体からの補助制度が終了する平成28年度以降の安定経営が存続のための最大の課題ですから、本年度中に平成28年度以降の支援策を決定する必要があります。

現在、実施している上下分離方式を続けるとなれば、和歌山市と紀の川市の平成28年から10年間の支援金額は約20億円と見込まれています。この上下分離方式とは、支援する地方自治体が車両を保有して維持管理を行い、和歌山電鐵が運行を行う方式です。事業の継続性や安心感が得られる支援方式ですが、支援する金額として約20億円必要となることが支援するに際しての問題となっています。和歌山県と市、そして紀の川市が検討している中において設備更新を中心とした安全運行のための支援を行う方向で調整していると聞いています。

ただそうなると平成28年度からの10年間の支援金額だけでは大幅な赤字となり、経営を圧迫することになります。単に経営赤字だから十分な補助制度をして欲しいと言っているのではなくて、できる限り経営努力をしているけれど、まだ赤字になっているので経営を自立させるまでの期間は必要な補助を求めたいと考えています。

経営を自立するために取り組んでいることはスーパー駅長のたま駅長、たま電車やおもちゃ電車、いちご電車の運行などがあります。加えて、イベント電車やパークアンドライドなとどの取り組みも行っているように、経営努力はしてくれています。地元の皆さんと支援している地方自治体が継続して支援策を講じることが存続するための条件です。

行政から支援をするに際して、和歌山市からは受益者負担が言われているようです。赤字分全てを行政が負担するのではなくて、貴志川線利用者が乗車料金として負担することが好ましいとする考え方です。設備を利用した人が経費を負担する考え方は、高速道路料金の負担などに代表されるように、利用者が負必要経費を負担することが好ましいと理解はしています。

貴志川線

しかし公共鉄道は市の財産だと考えるべきです。公共鉄道があるから高齢社会に対応できますし、沿線の子ども達は鉄道を利用して高校に通学することができます。地方鉄道である貴志川線の運行は民間事業ですが、公共鉄道の役割を果しているので、もはや和歌山市として地域に必要であって守るべき公共鉄道になっているのです。このように公共鉄道である貴志川線はもう和歌山市の財産となっていますから、赤字は経営者の責任であると言うのではなくて、地方自治体の責任でもあると感じてもらいたいものです。

また存続に際して、和歌山県のリーダーシップが見えないという意見がありました。存続の枠組みの検討を和歌山市と紀の川市に任せるばかりで、県の役割が分からないという指摘です。

平成27年度の7回目の定例会に出席して存続のための問題点を共有できたので、次回の定例会でも課題解決のための取り組みを話し合うことにしています。これまでとおりの支援制度の継続を求めたいところですから、和歌山県議会で貴志川線存続問題を取り上げたいと考えています。