一般質問三日目でも県政に関る議論が繰り広げられました。一般質問を行う議員の思いと当局の回答のせめぎ合いは聞いていて楽しいものです。一般質問は形式的だという声もありますが、そんなことはありません。現場を見て回り、皆さんの意見を聞いて、そして調査を行って一般質問原稿を作り上げて行きます。そして当局とすり合わせという形の議論を行い、答弁案を導いて行きます。その間に交わす議論によってそのテーマに関わる課題を共有し、今後の進め方や解決方法を導いて行きます。
一般質問をするから議論を交わすことができますし、理解が深まっていくのです。そして答弁案を作成していく過程で使命感や課題を克服するための仕事をすることになっていくのです。もし課題があるのに一般質問で取り上げなければ、それを解決しないか、解決するにしても誰かが着手するまで相当の時間を要することになると思います。
仕事は何かのきっかけ、動機付けによって動き始めることがあります。仕事は経験を重ねるとパターンや組み合わせが分かってくるので、どうしても定例的になってしまいます。定例的にすることで仕事の段取りは良くなりますし、処理速度は速くなるという利点があります。しかし定例化した以外のことは出来ないと判断するようにもなります。
良い意味でも悪い意味でも硬直化した仕事に陥ります。その仕事振りを打破するのが一般質問で取り上げることがあります。壇上に上がる前にある程度の結論を導いているということは、それだけ深い議論を交わしているからです。
一般質問で取り上げることによって県政が動いているのは事実です。もし課題があるのに議会で取り上げなければ、県政は停滞の一途を辿ることになると思います。議員は選挙区も、年齢も、背景も、支持している人も、そして考え方も違いますから、違う視点で県政の課題に気付き議会で取り上げているのです。
議員として役立つのは、実際に議場にいられるので、白熱した議論を直接聞くことができることです。現在は議場での一般質問内容を活字で読むことも出来ますし、アーカイブで見ることもできます。しかしスポーツでもコンサートでも、そして会議でも、ライブ会場にいることで分かることや気付くことがあります。臨場感、その場の空気、質問者や答弁者の言葉のニュアンスなど、ライブで体験できることが勉強になります。
白熱教室のような空気を有しているのが議場での一般質問です。今日も一般質問を聞いて県政の勉強になりました。
昨日の一般質問で行った「南紀熊野体験博で根付いた地域振興をどう活かすのかについて」の知事答弁に関して、知事の思いを聞かせてもらいました。
答弁の中に次のような一文があります。
「博覧会というものはこういうものだ。こういうふうにするものだと、人はすぐに考えがちでございまして、そこで思考停止をするわけでございます。そういう面をたくさん検討していくなかで、それを熊野の特性から、あの形が最適と考え出し、多くの人々を説得したことはとてもえらいというふうに思います。県庁職員はこうでないといけないというふうに思う次第でございます」。という知事答弁です。
これは議場で知事が答弁した言葉の一部ですが、元々答弁原稿にはなかったものです。私が議場で行った一般質問に対して、現場で聞いていた知事が自分の考えを答弁の中に入れてくれたものです。このような答弁者の思いのこもった言葉で答弁してくれることが嬉しいのです。
この意味は、当時の事務局長が熊野をどうアピールすべきかという困難に突き当たった時、従来のような案内つきの観光に料理するのではなくて、オープンエリア型というスタイルにして自分達で歩いてもらうことで熊野を知ってもらうという、それぞれの感性に委ねる体験型に料理したことが凄いことだと言っているのです。
そんなものは博覧会や観光ではないなどの意見に対して、このスタイル以外に体験博という意味を込められないと考えた事務局長が、博覧会職員や県庁上層部を説得していったのです。その熱い思いと説得する力、そしてやり遂げた力が凄いことであって、県庁職員はこんな仕事をしなければならないから見習うべきだと言っているのです。議場で知事が実名を出す訳に行きませんが、事務局長、つまり垣平高男さんが行った仕事の進め方を最大に称えているのです。
南紀熊野体験博実行委員会の上司を称えてくれたことは私にとっての喜びであり、博覧会に関われて良かった、そして議会で取り上げて良かったと思っています。
一般質問に関するこんな嬉しい後日談を聞かせてもらえたことで、このテーマを取り上げて良かった、充実感と達成感を味わうことが出来ています。