活動報告・レポート
2015年6月4日(木)
中小企業の問題

東大阪市は技術力のある中小企業が多いことで有名です。町工場の中に世界のトップレベルの技術を持っているところや、その分野で世界のシェアの数十パーセントを占めている会社もあります。高い技術力を有している企業が集積されている東大阪市ですが、中小企業のためメーカーの下請け的存在という立場があります。

自社で直接製品を市場に供給しているのではなくて、メーカーに納品した部品などが製品化され市場に投入されていることから、価格はメーカーに支配されていると言えます。

そんな東大阪市にある中小企業の現在の最大の問題は、電気料金の値上げだと聞かせてもらいました。部材の供給は関西地域内で完結するものであれば、電気料金が値上がりした分の価格転嫁を申し出ることができますが、多くの取引メーカーが東京にありますから、関西の電気料金が上昇したことを理由に価格改定の依頼はできにくい状況です。仮にメーカーに部材の値上げ申請をしたとしても、メーカーにとって部材の供給先は全国にありますから、電気料金の値上げ分を価格交渉しようとしても全く聞いてもらえません。

このように、東京にある大手メーカーと取引をしている東大阪市の中小企業は電気料金の上昇を価格転嫁させることはできないのです。

ある業種における部材コスト構成は、人件費30パーセント、塗料費などが30パーセント、電気料金が30パーセントとなっているようです。コストの30パーセントを占める電気料金が30パーセントの値上げとなれば、全体の10パーセントコストを引き上げることになります。この分を価格に転嫁できないことから、東大阪市の企業の競争力が失われていると聞かせてもらいました。高い技術力を持っているといってもメーカーの基準に適合した部材が供給できる競争相手は全国にいますから、関西は電気料金が高いから値上げを認めて欲しいと依頼しても相手にされないのです。

そのため本日話し合った衆議院議員は、「東大阪市の中小企業が競争力を保つためにも電気料金を元の水準に引き下げることが必要」と話してくれました。議員活動として取り組むべき重点項目は電気料金などのわが国のエネルギー問題だとも話してくれました。

開会中の今国会において、所属する委員会でわが国のエネルギー問題と企業活動への影響について取り上げる予定で調査していることを伝えてくれました。関西の中小企業の原状を伝える声も取り上げてくれることを大いに期待しています。

全国を相手に仕事をしている企業の場合、電気料金の上昇が競争力を失わせていることを認識できる現状を確認することができました。エネルギー価格の上昇に伴い、関西にある企業の競争力が低下している現状を放置することはできません。エネルギー問題は国レベルの問題でありますが府県レベルの問題であることが分かります。

私達の府県の中小企業の競争力を低下させていることで地域の雇用機会が失われているのです。ですから関西の現状は、雇用の拡大を求めているのに企業の競争力を失わせるような矛盾した取り組みになっています。世界レベルの技術力を保有している中小企業はエネルギーコスト上昇があったとしても競合する製品が少なければ克服できると思いますが、メーカーが要求する部材に同等品がある場合、それを供給している全国の中小企業と競争するのは厳しい現状となっています。

これは関西の問題ですから、当然、中小企業が大半で部材をメーカーに供給している和歌山県内の企業も同じ問題を抱えています。このエネルギー問題と中小企業の問題については考えていくべき問題だと捉えています。

志のある衆議院議員と話し合うことができて、とても有意義な時間を過ごすことができました。これからも問題意識を共有してこの問題を考えるつもりです。