活動報告・レポート
2015年5月22日(金)
地熱発電所
地熱発電所
地熱発電所

大分県にある八丁原地熱発電所を訪れました。地熱発電所を見学するのは初めての機会で、そのスケールの大きさに驚き、地熱を活用している発電方式を和歌山県にも展開できないものかと思いました。過去、和歌山県本宮で地熱発電の可能性調査をしたことがありますが、地中の水源が低音で量が少ないという結果が出されていたように覚えています。残念な結果があったのですが、この地熱発電所を視察して和歌山県にも欲しい施設だと思っています。

この八丁原発電所の出力は11万kWで、わが国最大の地熱発電所になります。年間の発電量は約8億7千万kWhで石油に換算すると20万キロリットルの石油を削減していることになりますから、地球環境保全に有効な発電方式だと言えます。蒸気を掘り出すための掘削している深さは760メートルから3,000メートルもあり、地球内部のマグマの力を活用した発電方式です。

驚くのは発電を開始した時期です。1号機は昭和52年6月、2号機は平成2年6月ですから、当時に地熱発電所を建設しようとした着眼点は素晴らしいことです。建設に際して建設場所の規制緩和がなされている今でも地熱発電所を建設することは簡単なことではありませんから、当時のトップは先見性のある慧眼の人だったと思います。

地熱発電が他の再生可能エネルギーと違うのはベース電源になっていることです。社会と暮らしを支えている電気供給のベース電源になっている存在で、天候などの自然条件に左右される不安定な太陽光発電や風力発電とはそこが異なります。地熱発電は安定して11万kWの電力を生み出すことができているのです。

また化石燃料を輸入に頼っているわが国においてエネルギーのセキュリティ確保にもなっている存在で、こうした視点からするともっと普及しても良い発電方式だと感じます。

ところが地熱発電が普及しているのは九州と東北地方で関西にはありません。自然が豊かで温泉がある場所に建設されていることから、どこでも掘削すれば建設できるものではありません。

課題のひとつは温泉地に建設する必要があるため、観光地と共存できること、温泉事業者と共存できることがあげられます。建設に当たって最も苦労したのが温泉事業者との話し合いだったと聞きました。

そして資金力の問題があります。八丁原発電所は建設計画から完成するまで15年を要しており、投資した資金を回収し利益を生み出すまでに要した時間は発電を開始してから15年かかっています。つまり計画を決定してから30年間持ち堪えられる資金力を持っている会社であることが必要条件となります。相当の資金力が必要になることが開発を妨げている原因のひとつです。

ただ地球内部に存在している地熱貯留層と呼ばれる水の集まったところに蒸気井を差込み吸上げて発電する方式は、地球の持つ熱エネルギーを利用しているので人間の偉大さを感じることができます。エネルギーを利用することに関して地球の力と共存しているのですから叡智すら感じさせます。地熱貯留層の下にはマグマがありますから、地中に蓄えられた水はマグマに温められて高温の状態で存在しているのです。

地熱発電所

地熱発電に必要な三要素は水、熱、器だと説明してくれましたが、水は雨水か地中に染み込んだもの。熱はマグマの熱。そして器とは水が蓄えることが可能となる不透水層があることです。これらの条件が整って初めて地熱発電が可能となりますから、候補地を探すのは容易でないことが分かります。

また発電に利用した高温の水は地下に蓄えられている水資源が減少しないように還元熱水管によって戻されています。このきめ細かさと技術は日本独特の自然と共生する文化だと思います。

地球と共生する技術、地球からの恵みを受けている発電方式、そして地球環境とエネルギーのセキュリティ確保に挑戦する人の叡智。これらのことを感じることができました。

懇談会
懇談会

大分県議会の藤田正道議員と2年振りに再会し、議会報告会と懇談の時間をいただきました。今から2年前、大分県も水害に襲われたことから、復旧に向けた取り組みを学ぶために藤田議員は和歌山県庁を訪れてくれました。その時、対応し説明したのが僕だったことから、今でも交流をしているところです。そんなご縁があり今回の懇談会に出席してもらい、大分県議会報告をしてもらいました。

大分県でも少子高齢化と人口減少が進展していること。産業が少ないことからインバウンド観光に力を入れていることなど、和歌山県と共通の課題に挑戦していることが分かりました。地方都市の課題は共通していることから、今後とも情報交換をする機会を持ち、県政発展につなげたいと考えています。