活動報告・レポート
2015年5月12日(火)
茶道
茶道
茶道

日本の茶道は世界に誇る文化です。お茶を道として築き、武士を中心とした精神文化を作り上げた文化は今に続く価値があります。武士は武士道としての死生観を持ち、茶道によって精神的に極めていたようです。茶道は単にお茶をいただくことではなく、おもてなしをすること、この瞬間、その人と向き合うこと、そして茶室とお庭を作り上げることで感性を高めることがその精神だと思います。

人との対話、自然を感じる心、緊張した時代に生きた武士達の感性を高める手段が茶道だったように思います。お茶室という日本の伝統に包まれた空間にいるだけで、時間の流れが止まったように感じます。

茶道

奇しくも台風が和歌山県に接近していたのですが、お茶室にいると雨の音でさえ心地良い音楽に変えてくれるのです。茶人の梅原さんに尋ねると、「茶室の軒下に白石が敷き詰めているでしょう。これは雨の音を音楽に変える役割を果たしています。当時の楽器のようなものです」と説明してくれました。自然の音を人が楽しめる音楽に変えてしまうことが日本文化の凄さです。人の生活にこれだけ自然を取り入れた国は他にないと思うのです。

そして武士の時代においてお茶と畳は憧れのモノだったことを聞かせてもらいました。お茶を楽しむことができるのは武士階級であり、畳は武士以上の階層に許されたモノだったからです。庶民は畳のある家に住むことができなかったので、お茶室は武士の精神的文化の象徴だったのかも知れません。

茶道

ところで畳の縁を踏んではいけないと聞いたことがあります。その理由は、畳の縁は武士の色を表していることと、畳の縁は弱いのでモノを大切にする精神を伝えるために踏まなかったと説明してくれました。歴史を乗り越えてきたしきたりには、それなりの理由があるのです。

ところで中国からお茶の種を持ってきたのは禅宗の栄西上人であり、栄西と交流関係にあった明恵上人がお茶の種を譲り受け、和歌山県内で植えたのが始まりだそうです。後に茶道に使われることになる抹茶は日本独自のもので、和歌山県がお茶の発祥の地であることを知り、和歌山県の文化の深さにただただ驚くばかりでした。

参考までに明恵上人は1173年生まれで1232年、60歳で没している和歌山県出身の僧侶です。お茶の文化は和歌山県が発祥の地であることを、現代社会においてもっと広報することが大切だと思います。和歌山県こそお茶の発祥の地だと認識されたら、明恵上人の縁の地やお茶体験が和歌山県の観光資源となるからです。

余談ですがお茶には眠りを防止する作用があることから、禅の修業中に眠気を覚ますためにお茶を飲用したのがお茶を飲み始めたルーツだと教えてもらいました。昔の人も座禅を組むと眠気に襲われたと思うと微笑みたくなりました。

このようお茶と和歌山県の関わりを知ることになり、この関係を観光資源に発展できないものか考えました。今日、茶人の梅原さんと話し合いをした場所は岡公園内にある和歌山市が管理している茶室でした。近年、観光施策として外国人観光客の誘客に力を入れています。和歌山市内のホテルには中国や香港からの観光客が多く、和歌山市内に宿泊している外国人観光客は和歌山城や高野山を訪れているようです。

和歌山市内のホテルから和歌山城の見学は行くのですが、現在の和歌山市内の観光はそれだけに終わっています。それだけではもったいないと常々思っていました。また昨日の鳥取砂丘と砂の美術館の関係を視察した時に、例え鳥取砂丘であってもそれだけではリピーターを作ることは難しいと思い、鳥取砂丘観光に変化や体験できるものを付加したものが砂の美術館であると感じました。

和歌山城だけではリピーターは来ないと感じていましたが、そこに和歌山城に隣接する公園内のお茶室で茶道体験ができれば体験観光になりますし、外国人にとって日本文化を体験する機会を提供できます。母国に帰った時、日本文化の体験を身内や友人に話をすることになると思います。見てきたものも大切ですが観光に訪れた場所で体験したことはもっと大切な思い出となります。

和歌山城に茶道体験を付加した観光ルートにすることで和歌山城観光の質を高めることができると思います。このことは県議会で提言したいと考えています。鳥取砂丘には砂の美術館があるように、和歌山城にはお茶室があり茶道体験ができることが昨日の視察の答えになりました。

観光資源に日本文化体験を付加することで、これまでと違う観光をお客さんに提供できます。ないものを建設することは大変ですが、岡公園内にはお茶室がありますから和歌山城観光と併せて活用する方法を考えれば良いことです。

和歌山城と体験観光を軸としてこれからの展開を考えていきます。

料理飲食業組合総会

本年度の和歌山市料理飲食業組合総会が開催されました。新年度方針が承認されて新しい年度の活動に進むことになります。和歌山市長も出席してくれた総会は盛り上がりました。平成27年は紀の国わかやま国体と紀の国わかやま大会開催の年ですから、飲食の満足は来県者に向けて欠かせない取り組みだと考えています。

和歌山県の素材を活用した飲食でお客さんのおもてなしをすること。参加した皆さんとそんなことを話し合いました。

僕からは、和歌山県は人口が減少していることからそれに歯止めを掛けること、そして観光客を誘致して消費を拡大する取り組みを挨拶の中で触れました。和歌山市に外国人観光客が増加している中、岡公園のお茶室を茶道の体験型観光として観光客に提供することを提言しました。お茶の発祥の地が和歌山県ですから、知られざる物語性があり、これを広報することで観光客に茶道体験をしてもらえる機会を創り出すことができます。

会員の皆さんは、今年の紀の国わかやま国体と紀の国わかやま大会開催に向けて飲食業界が団結して取り組む意欲を見せてくれました。有効な意見交換を交わし、本年度の総会を終えました。

その他
  • 和歌山市内への企業立地に関して打ち合わせを行いました。和歌山県に進出してくれる予定の会社に県庁に来ていただいて、進出協定や調印式などの話し合いを行いました。地域経済と雇用に効果が生まれることになります。ようこそ和歌山県にお越しいただきました。県内立地を支援させていただきます。
  • バイオマス発電に関して、県内での可能性について話し合いました。発電所の規模によりますが、和歌山県内の森林資源の確保の問題があるようです。これからの計画に力を注ぎたいと考えています。