中学校を卒業後、大阪市に丁稚奉公に出て修行、その後独立して何もないところから一代で起業し、今では社会で欠かせない会社に成長させた経営者が和歌山市まで来てくれました。現在は会長職に就任し経営第一線から引退していますが、その分、元気に社会貢献活動に力を注いでいます。「会社を成長させて後進に任せた後にすべきことは、自分を育ててくれた社会に恩返しをすることです」と話してくれました。
私が現在、後援会活動中のため激励に来てくれたものです。大阪市から激励のため一緒に昼食をとるためだけに和歌山市まで来てくれるのですから、ただただ感謝の気持ちばかりです。「春になって良い知らせを聞かせてもらってから、改めてゆっくりと食事の時間を取って下さい」と話してくれました。
会長の心配りに感謝しています。
企業家の皆さんと懇談会を実施しました。それぞれ仕事で目指すところは違いますが、共通しているのは会社を成長させて、その後は社会貢献をしようとしているところです。
「自分達もそんな年齢になったのかも知れませんが、自分のことよりも人のために尽くして喜んでくれることが嬉しいことだと感じるようになりました」と話してくれたように、お客さんが喜んでくれることを自分の喜びとしているのです。
会社は仕事を通じてお客さんの喜びを作り出し、利益の中から税金の支払いを通じて社会貢献をしています。それを果した後は社会貢献に向かう経営者が多いように思います。
逆に考えると社会貢献をしようと思っているから本業も成長しているのかも知れません。
また一人の経営者は「若い頃、銀行に行った時に考えたことがありました。自分はお客さんのところに出向いて営業しても、なかなかお客さんが商品を買ってくれないのに、銀行に来るとカウンターにお客さんが来ています。営業をしていないのにお客さんの方から来てくれるしくみを考えたら外回りの営業はいらなくなるのではないだろうかと、会社にお客さんが来てくれるしくみを考えました。そこで会社の一階をショールームに改造し、商品の展示スペースを設けました。お客さんが商品を求める段階は違うので、価格によっていくつかの展示スペースを設置し、お客さんが見やすいように工夫しました。その結果、営業にそれまでのように行かなくてもお客さんがショールームに来てくれるようになりました。人件費の削減とお客さんとのふれあいが実現できたのです」と話してくれました。
それまでの会社は経営者と従業員以外に人は入れない城になっていたようですし、お客さんが会社の事務室に来たところで面白いことは何もありませんでした。それをお客さんのためのスペースを設けた会社にすることで来店してくれるようになったのです。
今では当たり前のことですが、30年ほど前は画期的なことだったようです。お客さんに来てもらえることで接触する機会が増え、親しみを感じてもらえるようになります。会社とお客さんとの関係は触れ合う時間が多い方が親しみを感じてもらえるのです。これは全て分野に通用する参考になる行動です。
また仕事は言われて実行するのではなく、気付いたことがあれば自分から進んでやっておくことで感謝される度合いが違うことも話してくれました。気付いた時にやっておくことで「あの人は言わなくてもやってくれた」と感謝してもらえますが、指摘されてやった場合「私が指導したからやっただけ」と評価されます。やったという行動は同じですが、相手の感じ方が違うのです。同じ時間と労力を費やすのであれば、感謝される方が良いに決っています。この方は今では経営者ですが、若い頃に費やした、人よりも先にやるという行動が現在につながっています。