和歌山市内の会社経営者と話をする機会がありました。少し先を予測して先行投資をしている経営者ですが、最近の急激な円安誘導に関してはやや否定的な意見でした。その理由の一部を以下に記します。
日本の大まかな労働人口の比率は、大企業が15パーセント、中小企業が70パーセント、年金やフリーターなどが15パーセントとなっているようです。まず年金やフリーターに関しては円安の影響は余り関係ありません。大企業の中でも輸出関連産業は円安によって利益を得ていますから、円安賛成の立場を取っています。
ところが70パーセントを占める中小企業の皆さんは円安のメリットを享受できないばかりか生活に苦しんでいる状況です。と言うのも、70パーセントを占める中小企業のうち、3分の2はボーナスが支給されていません。これだけ多くの労働者の皆さんにボーナスが支給されていないことは、働く人が生活費を切り詰めることを余儀なくしています。更に地方にある中小企業においては所得も上昇していないので生活費が厳しくなっています。食料品など最低限必要なものは所得や消費税に関係なく購入していますが、その以外のもの、耐久財や生活に直結していないものの購入は控えている状況です。交遊費や飲食費などは削減対象となっていることから、街に賑わい感じられないのは当然のことになります。
また一般論ですが、中小企業の粗利益は約30パーセントになっていると聞きました。円安の影響から円の対ドルレートは1ドル118円にまで円安になっています。円高の時と比較して、実に約40パーセント切り下がっているのです。円の価値が約40パーセント下がっている中で会社を経営していくためには、それに対応するだけのコスト削減が必要です。そのコストとして、どこの会社でも経費の削減は限界に来ているので人件費の引き下げを検討していると説明してくれました。人件費を削減するということは、ボーナスの不支給や給与を引き下げることになります。所得が上がらないことには消費は増えませんから、生活費を切り詰めるという循環になるのです。原材料を購入し加工して大企業に部材を納品している中小企業にとってこの円安は経営を揺るがすものになっています。
この円安の事態に関して、この会社を始めとする中小企業は30パーセントの粗利益を得られたとしても、円安によって約40パーセントの利益分が飛んでいますから、純利益はマイナスになっています。ですから15パーセント程度の値上げをしないことには経営が厳しくなるという状況です。しかし値上げをしないで持ち堪えられる中小企業は多くはないと思われます。
値上げをしないで生産活動を行っている中小企業がどこまで持ち堪えられるかは分かりませんが、これ以上円安が続くと経営が成り立たなくなるケースが続出しそうな感じがあります。
この経営者の意見として「政府は企業に対して賃上げを要請していますが、中小起業でそれにこたえている会社はないと思います。人件費を上げるという経営判断をする中小企業経営者はいません。政府は矛盾したことを言っているのであって政策が上手く進んでいるとは言えないと思います」と話してくれました。
部材などの値上げができない中、利益を出すのに苦慮している状況なので人件費を増やすことはできません。地方経済が更に厳しい環境に追い込まれるような円安誘導は納得いかないという意見です。
このような地方の経営者の声を発信していきたと考えています。
和歌山市の最大の課題の一つが、JR和歌山駅前と南海和歌山市駅周辺の再開発についてです。再開発事業を計画している関係者と話し合いました。平成28年度に事業着手したいという計画に対して、中心市街地の活性化のために行政の施策で支援できることはやっていくので、前倒しできるように後押しすることを話し合いました。
岐阜市や富山市、金沢市のように駅前再開発が進展している都市があり、和歌山市も追いつけるように民間事業者の方々の計画を支援して、開発事業を進めたいと考えています。
夕方からはまちづくりに関して話し合うための懇親会を行いました。観光振興や中心市街地再開発に関しての話し合いを続けました。