価格を採算ギリギリの状態で他社との競争に入ると、次年度も同じ仕事を獲得しようと思うと今よりも安い価格で仕事を請け負うことになります。採算を考慮して入札するにしても光熱費や原材料費の値上がりがあると限界がありますから、落札した後に原価を再計算することになります。その結果、切り詰めることができるのは人件費ということになります。今勤務している従業員さんの年収を下げるか、年収を下げて新しい人を雇用するかなどの対応を検討することになります。
本日意見交換を行った会社では、本年度官公庁の仕事を獲得することができたそうです。しかし月間の利益は9万円のため、年間で得られる利益は100万円余りということになります。年間100万円の仕事のために資料作成、見積もり、経費削減、人材採用などの労力を考えると、会社に貢献している仕事とは言えないようです。
今よりも利益を拡大させるためには、人件費を削減する以外に方法はない位に経費削減を図っているのです。次年度は入札に参加するかどうかを検討している段階ですが、価格競争が続くと利益が見込めない仕事を請け負う会社が更に絞られてきそうです。これだと地域経済が先細りすることになり、好ましい環境にあるとは言えません。
必要以上の競争に曝された業務における人件費のカットは、結果として地域の購買力を低下させ経済活動を低調な地域へと追い込みます。適切な利益を確保した上で競争をすることは資本主義社会では悪ではないと思います。
企業は原価計算をしながらコストを決定しますが、現代日本はデフレ時代から続く前年割れの落札金額になることが定着しています。仕事を請け負う金額が低下することは経済活動の先細りに向かうものです。入札問題と地域経済は考えてみたいテーマです。
和歌山県仁坂知事の議会報告会を企画し、県内の若手20人と意見交換を含めた会を持ちました。説明会ではエネルギー問題を中心に話を進めてくれましたが、質疑応答では若い人からの質問に熱心に答えてくれたので聞き応えがありました。ブルネイ大使時代の出来事や高速道路延伸の問題、ふるさと納税の考え方や電力輸出県の考え方、津波防災への対応について丁寧に答えてくれました。
和歌山県の責任者としては世論と違う政策を行うことは勇気の要ることですが、正しいことを実行することを核とした政策を推進していることを説明してくれました。世論を形成されてしまうと、それと違った意見は言い出しにくくなります。しかし世論が正しいとは限りませんから、自分が正しいと思うことは意見提起を行い、実行する姿勢をトップは持つべきだということです。
一例として、経済大国の時代の日本は1億人を超える人口を要し、しかも知識レベルも所得水準も均一的な国であったことから経済活動は伸びるばかりでした。日本が存在しなければ世界経済は停滞すると言われたのは一国としては巨大な市場があったからです。1970年代から1990年代は1億人を超える巨大市場は日本とアメリカ位でした。ヨーロッパでもフランスやドイツの市場は1億人を越えていなかった程の規模でした。中国にしても人口は多かったのですが購買力はありませんでした。
しかしユーロ圏が誕生し3.6億人の巨大市場になり、中国は経済成長を遂げ13億人の10パーセントが裕福だとして1.3億人の巨大市場になっています。アメリカとユーロ、そして中国市場が形成されていることから、日本単独の1億人の市場はかつてのような巨大市場に扱われなくなりました。
そのため世界市場で日本語が通用していた時代ではなくなり、世界市場では英語力が不可欠な時代へと変化を遂げています。これまで1億人の均一的な巨大市場に守られていたから日本語だけで通用していたのですが、今では日本語でのビジネスは通用しなくなっています。世界市場では英語でビジネスをしなければ通用しない時代に入っています。
ブルネイの学校では国語だけが自国語で授業を行い、それ以外の科目は英語で授業をしています。自国語で授業ができるレベルではなかったことが弱みでしたが、今では英語力が強みに変わっています。日本人は英語力がないので、世界市場での弱みになっていることも経済力低下の要因です。
そこで自分の競争力を高めることが必要で、例え和歌山県にいたとしても世界市場を睨んでおく必要がありますし、そのための英語力が必要なのです。外国に出張して英語力を身に付けると共に外国でのビジネスに対応できるコミュニケション能力や技術を身に付けることが和歌山県人にとっても大切になっています。
そのため和歌山県では英語教育という概念ではなくて、英語で勉強しようという取り組みを検討しています。英語で勉強をすることが楽しいことだと思ってもらえると英語力は身に付いていくからです。
世界市場と関係ないと思われる和歌山県ですが、市場は世界ですからビジネスで通用する人材を育成するのが和歌山県の教育です。
予定の時間を越える長丁場でしたが、とても勉強になった知事報告会でした。
- わかやま応援団に推薦したい人物のことを話しました。わかやま応援団では、和歌山県出身の県外で活躍している人が仕事や日常において和歌山県をPRする役割を担ってくれています。活躍できる人物を任命して和歌山県の観光PRにつなげたいと考えています。
- 主要道路で横断歩道のペイントが薄くなっている箇所があります。通学路など安全性を確保する横断歩道について協議を行いました。
- 障がい者支援対策について所管に説明し、来週、話し合うことにしました。とても大切な事ですが体制が整っていなければ十分の支援はできませんから環境整備を図れるように取り組みます。
- 自然公園内の太陽光発電導入に関して協議を行いました。自然環境保全と景観美を確保できるなら検討する余地があります。来週以降に詳しく協議を行う予定です。