活動報告・レポート
2014年9月14日(日)
運送業界

運送業界の方と話す機会がありました。運送業界の価格の維持が厳しくなっている現状を聞かせてもらいました。運送業界では燃料費の高騰と高速道路料金が高くなっていることで経営の厳しさが増しています。まだ燃料費ですが、この会社では月間で約1,000万円の燃料を使用しています。これまでは約900万円だったのですが、円安の影響で燃料費が高くなっているので月間で約100万円の経費が増加しています。このままで推移すると年間で約1,200万円の経費が増えることになりますから、経営に影響を与える金額となります。

また高速道路料金も割引がなくなり元の水準に戻ったことから、運送費に影響を与えています。運送会社によっては、高速道路を利用しないで運送しているところもあるようです。ただ高速道路を利用しない場合の燃費低下や地球環境問題への対応などを総合的に勘案して各社が判断をしているようです。

このような経営環境が変化している中ですが、運送費の値上げはされていないようです。経費が増えていることを理由に値上げ申請をした場合、認めてくれる取引先もありますが、運送会社を変更されることもあるので申請を切り出せない状況です。

運送費を安価にして仕事を請け負う運送会社もありますが、そんな会社は運転資金を回すために安い価格で引き受けているだけなので、やがて経営が行き詰ることになると説明してくれました。

燃料費を安い水準に戻して欲しいこと、高速道路利用金を下げて欲しいという要望を聞かせてもらいました。経営努力はしているものの円安に伴う燃料費などの外部環境が変化し、また運送料金を上げられない状況があるので利益が減少しています。

そこで新しい仕事を獲得するための営業よりも、従業員の安全運転教育と指導を強化しています。仕事は既存の取引先だけで利益をあげられる構造になっているので、事故率を減少させることで経費を浮かせることを対策として考えています。勿論、安全対策は運送会社にとって重要な課題なのでこれまでも取り組んできていますが、さらに強化しようとしています。トラックの事故があれば監督官庁への報告業務や補償費用、トラックを修繕するまでの期間の仕事量の減少や再委託費用などが増えるので、その期間の利益が飛んでしまいます。交通事故をゼロにすることができれば、利益は10パーセント以上増えることになると説明してくれました。事故の損失はそんな大きな数字になっているのです。言い換えれば、運送業会は事故を減少させることが永遠の課題だということができます。

運転手の安全意識を高めるための安全教育は実践していますし、事故が減少して利益が増えるとその分を一時金で運転手に還元するなどの取り組みを行っているようです。安全運転への意識付けと動機付けを実施することで事故率を減少させる試みを行っていることを知り、利益を上げる方法は売り上げを伸ばすこと、経費を削減することに加えて安全対策を実践することもあることを知りました。

企業が従業員の安全対策と健康管理を行っているのは、従業員とその家族の皆さんの幸せのためでもありますが、会社にとっても利益をもたらすからです。安全運転と健康の維持と増進を意識することは個人にとっても組織にとっても、社会とっても大事なことだと認識して行動したいものです。

運送業界は常に厳しい競争にさらされています。トラックには速度制限があり車体にはリミッターが取り付けられているので、時速90km以上の速度は出せません。高速道路などでトラックの後ろを走ると、車体に速度制限車という表示を見ることがありますが、90km以上の速度が出せないことを示しています。かつて地球環境問題への対応として政府が規制したものです。

これによって運送に必要な時間は長くなっていますが、トラックの燃費は改善されたようです。私達は知らないことがたくさんあります。人と会うことや話を聞くことが勉強になります。