午前から黒龍江省森林工業総局を公式訪問しました。副局長を始めとする幹部の皆さんが応対してくれました。
同省の産業は林業が盛んです。省全体が約46万平方キロですが、森林面積は約10万平方キロあります。林業従事者は約7万人で、省全体の22パーセントが森林となっていることから林業が産業となっていました。
ところが中国政府は平成26年4月1日から森林の伐採を禁じる法律を施行しました。国有林の伐採を禁止する法律ですが、国有林の伐採を禁止するということは省保有の森林の伐採もできないことを意味しているので林業はできなくなっています。しかも伐採の禁止期間は30年間ですから、この期間、中国は材木の輸入国となります。森林の伐採を法律で禁止した理由は環境破壊が原因です。乱開発で植樹もしないことから森林がなくなり、または破壊され国土の環境問題として認識されるようになりました。そこで一切の伐採を禁止することになったのです。中国は木材の不足と林業従事者の仕事を探すことが課題となっています。
失業者対策として考えていることは、グリーン食品の製造を仕事にすることです。言葉に馴染みのないグリーン食品とは有機食品のようなものだそうです。中国では野菜類を三段階に分けて品質管理をしています。一番良いのは有機食品、次がグリーン食品、そして無公害食品です。
さて現在、中国で使用されている木材は約80万立方メートルで、その内、アメリカとロシアから約20万立方メートルを輸入しています。差し引きして今後約60万立方メートルが不足することになります。
現在中国政府はロシア政府と経済協力の協定を結び、ふたつの工業団地を作り、また中国として森林の伐採もロシアで行い輸入しているところです。このような取り組みでロシアからの輸入を約80万立方メートルの約60パーセントと見込んでいますが、まだ不足することになるため他の国からの調達を検討しているところです。
このような背景があることから、今回の訪問団からの要望である和歌山県の木材、紀州材の輸入に関しても検討してくれることになりました。そして視察団を結成し、和歌山県を訪問してくれることも約束してくれました。
輸入に至るまでの課題は価格と品質にあります。紀州材の品質は大丈夫ですが、問題は価格です。現在の見込み価格は1立方メートルあたり12,000円ですが、中国側からは1立方メートルあたり9,000円以内に抑えないことには輸入は厳しいことの指摘がありました。紀州材はコストが高いのですが、ここに人件費が含まれていることから、例えば黒龍江省の林業従事者を和歌山県に労働派遣してもらえることができるなら人件費は抑えられます。同省の林業従事者は約7万人で失業状態にあることから検討できない案件ではありません。和歌山県として林業木従事者を迎え入れられるなら、人件費抑制と黒龍江省への材木の輸出が可能となりますから、是非とも労働者の受け入れを検討したいと考えています。
参考までに林業従事者の給与は約7,000元で、日本円に換算すると約12万円となりますから出稼ぎ分を含めたとしても不可能な数字ではありません。和歌山県の材木を輸出するための条件はコストを抑えること、そのための人件費抑制のために中国から林業従事者を受け入れることに絞られてきました。
局長からはコストが折り合うなら検討したいという答えをいただきました。和歌山県の林業のために検討すべき課題として持ち帰ります。
最後は遼寧省旅遊局を公式訪問し、幹部の皆さんと意見交換を行いました。
迎えてくれた副総長からは、こんな厳しい時代に訪問したくれたことに感謝していること、このことが信頼関係につながることを話してくれました。中日関係はとても重要で、政府の関係が良くないけれど、同じように地方も民間も関係を悪化させてしまうと両国の経済発展はあり得ないので、これまで築いてきた関係を維持することを期待していると伝えてくれました。
遼寧省としては経済協力を最重視し日本との関係を強いものにしたい希望があり、既に遼寧省に進出している日本企業の相談窓口を設置し、問題解決に応対していることを説明してくれました。