資金と市場、体力があるのが中国です。三拍子揃っていることから国内から国外へと力点を拡大しようとしています。3年以内にブランド力を形成し、国外の市場で勝負しようと計画しているようです。この計画は既に都市機能と産業育成を行っていて、技術力は保有していることから自信になっています。国外で勝負するための技術水準はあるようです。ただ超一流のものと比較するとブランド力は落ちますから、市場を絞って比較優位にある分野で勝負をしようとしています。
この背景にはアメリカの資金と力が関係しています。アメリカの新技術は中国で開発を行い、その市場で成功したものをアメリカ国内に逆輸入しています。新しい技術を提供し開発に向けた資金を中国が拠出し、製品化できたものをアメリカで販売する戦略です。優れた技術や知的財産などのライセンス、権利を保有していることから成し得る戦略です。
アメリカ企業は資金を中国政府に面倒を見てもらって、中国市場で試した新製品をアメリカに輸入することで再度利益を得ています。大国同士の技術提携は市場を席捲する動きがあります。技術を隠して自己資金で開発をするには長期的な時間とモノにもよりますが相当の資金力を必要とします。それらの役割を分散することで新しい技術を新しい製品として開発し市場テストをして投入しているスタイルは日本ではあり得ないことです。
いまや中国は、社会に向けて約束を守るスタイルへと変貌を遂げています。今までのような国際社会の常識を無視した戦略は取っていません。中国ブランドを軽く扱っていると世界市場での勝負に関して日本は厳しい戦いを強いられる恐れがあります。アメリカや中国から、世界の市場での勝負の仕方を見習うべきことがあると思います。
日本はまだ中国は20年前の力のままだと思っています。20年間の中国は技術も常識も世界市場からすると小学生レベルでしたが、今では大学生レベルにまで達しています。小学生相手に大学生である日本が教えても理解できなかったレベルでしたが、今では大学生レベルですから、技術提携なども話し合えるようになっています。折角、土地を耕し、種を巻き、実り始めている中国市場を、乾いた大地のような見方をするのは間違いです。これからの関係はとても大切なのです。市場で何かあると「尖閣諸島の問題があるから」という答えを聞きますが、世界市場は政治と関係なく動くものです。うまくいかない場合は真の理由を探るべきです。
また中国は天然ガスや石炭などの化石燃料が豊富にあり、これからこれらを活用していく局面に入ります。世界的にエネルギーは不足し始めますから、輸入コストが低い隣国と協力関係を保つことが戦略として必要なことです。エネルギーのない日本が、エネルギー不足の状態でこれから戦っていくのは無理があります。世界市場での戦いを知らないでエネルギーを論じていると、亡国への道へと突入することになります。
高いエネルギーコストの国とエネルギーコストが安い国が工業製品の技術力で勝負をすることになると、エネルギーコストが安い国が市場で勝つのは当たり前のことです。日本は技術力があると思っていますが、中国も技術力はあると思っています。日本の技術力が勝っている分野もあれば中国が勝っている分野もあります。一方的に日本が勝っている時代ではなくなっています。競争力を保つためのエネルギーコスト低減は国としての最大の課題ですが、明るい見通しが立っていないのが残念です。
国内だけを見るのではなくて世界市場を見て欲しいと思います。経済力がなければ国は荒れることになります。豊かだからこそ隣人に優しくできますし、思いやりのある社会を築けることを忘れてはいけません。
中国の力、エネルギー問題、世界市場などについて議論を交わしました。
午後7時から約2時間、生と死についての講演会に参加しました。医療関係者、福祉関係者も参加した熱心な会となりました。講演会は命のバトンタッチをテーマしにした話しが進みました。家族の死は次の世代に命のバトン受け渡しをする場なので、目を背けてはいけません。命のバトンをつなぐことが次の世代の役割です。そして命のバトンを大切に受け継ぎ走り、いつか次の世代にバトンを渡すことになります。しっかりと命のバトンを受け取っていない人は次につなげることはできません。決して、人としての役割を果せない人にはなりたくありません。生きることは死ぬことを知ること。現代社会において死は家庭にあるものではなく病院にあるものになっています。自宅で死を迎えられる人が全体の約10パーセントだと言いますから、死と隔離された社会ともいえます。
生きている人は死を迎える人から命のバトンを受け取ることです。そのためには看取ることを経験しそこから学ぶ必要があります。とても勉強になりました。
講演会場に向かう途中の空がとてもきれいでした。