他府県の方から、和歌山県の防災対策に注目されていることを聞かせてもらいました。ひとつは海南市沖に建設する防波堤についての話、もうひとつは串本町の高台移転についてです。
海南市沖に建設予定の防波堤は世界で初めての浮上式防波堤です。完成までに総額約250億円をかけた事業ですが、東日本大震災で津波高想定が変更なったことから、浮上式防波堤の高さも6.7メートルから8メートルに見直しされました。その結果、浮上に関して問題が生じているのではないだろうかという議論です。建設業界の専門誌にも記事として取り上げられたことから注目されているようです。
今後の防波堤建設計画の見直しなどの動向が注目されていると話してくれました。
また串本町の高台移転は和歌山県が津波対策として全国に誇れる長期対策だと評価をしてもらっています。津波対策は海岸沿いで暮らしている方々に、どうやって迅速に、安全に逃げてもらうことができるのかが課題です。一人の命を守ることが全ての人の命を守ることにつながります。防災対策として県民全ての人の命を守ることが使命ですが、どれだけ対策を講じても、それは簡単に実現できることではありません。町全体に津波被害が想定される地域から安全な高台に移転することができたら、津波被害から全ての人の命を救うことができます。過去の津波災害があった地域は分かっていますから、その場所に人が住まなければ津波対策は大きく進展します。ただ現在の生活環境を変えることは現実的対策ではないので、多くの場合は現状を前提とした対策を考えています。
しかし防災対策としての串本町の高台移転は思い切った取り組みです。50年先を見据えた長期的対策を決めて、それに向かうことは容易ではありません。行政のリーダーの先を読む力と決断、実行に移す力が求められます。移転対象地域に住んでいる人から反発があると思いますが、それでも命を守るための決断をして執行に移そうとしている和歌山県の取り組みが注目されているのです。東日本大震災の時、被災地の中で一人の命も落とさなかった奇跡の集落があります。
それは過去の津波被害が発生した場所を捨て、集落全体が高台に移転していたからです。かつての集落は田畑となっていて、現在の生活地域は高台にありました。先祖から「津波が来た地域を再興することなく高台に移転すること。津波は再び訪れるから」という教訓があり、前回の津波被害から長い時を経ても元の生活していた集落に家を建てなかったのです。
高台に移転して元の場所に戻らなかったことが、東日本大震災においてこの集落で全て人が助かった理由です。その当時の集落のリーダーの決断力と信頼力が、未来のこの集落を救ったのです。
地域全体が高台に移転している事例は多くはありません。まちが形成されている中において、津波想定が分かっていたとしても移転は簡単には進まないからです。その困難な挑戦を和歌山県と串本町はやろうとしているのです。良い意味で高台移転の取り組みが注目されています。
- 和歌山ゴールドライオンズクラブ例会が開催されました。夕方からの例会となりましたが、出席したメンバーで懇親を深めながら会合を楽しみました。一年に二回程度、例会場を変えて違う雰囲気で例会を行っています。会員同士が親睦を深め、新年度のスタートを切った例会となりました。
- 災害に備えた簡易トイレの案内をいただきました。もしも大災害が発生し避難した時に発生するのがトイレの問題です。直ぐに簡易トイレの設置はできませんし、仮に簡易トイレが設置されても汚れてしまうとトイレを我慢する人が出てくると過去の事例から聞いています。トイレを我慢することで体調を崩す人も出てくるので、持ち運び可能な簡易トイレは防災への備えとして必需品です。非常時に備えて保存しておくことを推奨したいと思います。