今年も大川小学校のひまわりが和歌山市内で生長しています。正確には大川小学校からいただいたひまわりの種を平成25年から植えているのですが、今年もその種がすくすくと育っています。このまま順調に育ってくれると8月には大輪の花を咲かせてくれると思いますから楽しみです。
3.11のその時、東日本大震災によって宮城県石巻市立大川小学校で多くの子ども達の命を奪われました。その子ども達のことを想い、保護者の方々がひまわりを植えて花を咲かせたことが物語になりました。
被災地で大輪の花を咲かせたこのひまわりの種が、ご縁があって私のところに届けられたのです。和歌山市から東北の被災地にエールを贈り続けようと種を植えて、今年が二度目の夏を迎えようとしています。昨年は暑い夏だった影響から多くのひまわりが成長することはできなかったのですが、今年はたくさん花を咲かせてくれそうな勢いです。
雨の中でしたがひまわりの生長の様子を見てきました。8月に向かって伸びようとしている緑の葉に「頑張って花を咲かせて」と声を掛けました。東北で育ったひまわりが和歌山市で育っていることは不思議ですが、これもご縁という見えない力が働いているからです。
大川小学校のひまわりの種は簡単に譲ってはくれません。関係者は津波で命を落とした子ども達の命と同じ重さだと思っているからです。命と同じ重さのひまわりの種を簡単に譲ってくれないのは当たり前のことです。そんな大川小学校で育った命の象徴とも言えるひまわりを、2年前、東北支援をしていた私のところに届けられたのです。「片桐さんなら育ててくれる」と信じて届けてくれたのです。
その種を私も理事を務めているNPO法人和歌山県青少年国際福祉教育協会で大切に預かり、種を植えたのが昨年のことでした。今年も命の象徴とも言えるひまわりが大人に成長しようとしています。輝く季節に向かって葉を伸ばし始めている姿に感動しています。
そして今年8月に大輪の花を咲かせた後は、このひまわりには大切や役割が待っています。平成27年度の紀の国わかやま国体の時に、大川小学校のひまわりの花を咲かせて東北の皆さんを迎えようと計画しているからです。和歌山県は東北の皆さんを忘れることなく応援していることを、成長したひまわりを通じてメッセージを届けようと考えています。
和歌山市のこの場所だけではなく、和歌山県各地にこのひまわりの種を配布し、来年に育てて欲しいと思っているのです。和歌山県各地で大川小学校のひまわりが育ち東北からの国体選手団と応援団を迎える光景を思うだけで、嬉しくてワクワクしてきます。
仮称、ひまわりバンク計画と名付けて平成27年度に向かっていますが、その種がしっかりと成長してくれています。種は命の源であり、育てる人のやさしい気持ちが込められています。ひまわりバンクのことを説明していますが、既に来年に向けて協力を申し出てくれている皆さんがいます。心ある皆さんに感謝していますし、仮称、ひまわりバンクを計画通り実行したいと考えています。
宮城県石巻市から和歌山市へと届けられたひまわりの種はしっかりと和歌山市の大地に根を下ろし、輝く愛と命を育てています。大川小学校のひまわりの物語は続いていますし、来年も新しい物語を生み出してくれると確信しています。
東北の津波被害で亡くなった子ども達の命を思って植えられた大川小学校のひまわりは、愛であり命だと思います。その愛と命の尊さと、新しい命を育てることの美しさを感じています。平成27年度に和歌山県下で咲いているひまわりには、そんな愛と命の尊さを思って育てた人の心が込められていること、そして愛と命をつなぐ紀の国わかやま国体にしたと願っていることを思ってくれたら幸いです。