和歌山ゴールドライオンズクラブ結成11周年記念行事に参加しました。昨年は10周年記念式典を行いましたが 、11年目は京都まで出かけての例会となりました。ライオンズクラブは7月からが新年度になりますから、現三役体制での最後の例会ということになります。午前8時45分に和歌山市を出発して、午後9時40分に帰るまでの楽しい企画となりました。
研修先として立ち寄ったのがサントリー山崎蒸留所です。1923年に国産のウイスキーを製造するために山崎蒸留所を完成させています。最初に発売したのは「白札」というウイスキーだったそうですが、全く売れなかったと説明してくれました。サントリーのウイスキーが売れ始めたのは1937年の「角瓶」からなので、14年間も苦しい時代を耐えてきたことになります。サントリーでさえ創業期は苦しい時代があり、売れるまでに耐え抜いた時代があったのです。
ウイスキーができるまでのことは知りませんでしたが、貯蔵するための樽に秘密があることを教えてもらいました。蒸留された原酒は樽に詰められて寝かされます。製品になるまでには10年の時が必要なので、現在、私達が飲んでいるウイスキーは10年前に造られたものなのです。2000年頃に蒸留された樽に詰められたウイスキーを飲んでいることになりますから、ウイスキーは時を越えた贈り物だと思います。
蒸留された原酒は透明ですが、樽から染み込んだ香りと色が、私達が飲むウイスキーになっていくのです。時と自然が生み出したものがウイスキーなのです。樽に詰められたウイスキーは年間約3パーセントずつ減って行きます。その理由は、樽は息をしているので樽の内部と外部は空気を通じて循環されることになります。内部のウイスキーは樽を通して空気中へと放出されていくのです。12年か経過した樽の中のウイスキーは3分の1程度減少していますから、年月と共に樽の内部のウイスキーは琥珀色に染まると共に、量は減っていくことになります。年月の経過したウイスキーが高価なのは、量が少なくなっているからなのです。
そして樽の中でウイスキーが減少している現象を「天使の分け前」と呼ぶそうです。天使が樽の中のウイスキーを飲み、天使の飲み残したウイスキーを人がいただいているという意味です。天使も大好きなウイスキーですが、その残した分を私達がいただいていると思うと、大切に飲まなければと思います。この「天使の分け前」というウイスキーの表現方法は世界共通のもので、「Angel’s share」と呼ばれているそうです。天使が好む琥珀色と香りは、私達の生活を楽しいものにしてくれています。
ライオンズクラブの夜間例会には飲食は欠かせないものですが、ウイスキーの製造工程を知ることで更に楽しい例会になりそうです。10年という時間を旅したウイスキーをいただいているのですから、現代を大切に生きなければと思うからです。現代の活動が10年後に活かされるようにと思う気持ちは天使と同じ思いです。
価値あるものは現在活動したものを熟成させて社会に出現させることです。今の私達は10年前の人達が築いてくれた社会の中で生きているように、只今の苦労を10年後の人たちが楽しめるように、今の活動に力を注ぎたいと思います。
大きな時の流れを実感させてくれた研修会となりました。本年度最後の例会に相応しい実のあるものとなりました。昼食と夕食の時間は懇親の時間を演出してくれたことや、移動のバスの中でもリラックスした環境を作り上げてくれました。クラブの三役の役割を果すことは大変なことですが、1年を通じて会員のために尽くしてくれた役員の皆さんに感謝しています。
最終例会は新年度につなげるための大切な例会ですが、楽しくて充実したものとなりライオンズ魂は引き継がれることになりました。