宮地区連合自治会役員研修会に参加し二日間長野県に向かいます。初日は長野県にある杵原学校を訪問しました。昭和24年に開校した山本中学校は、昭和60年に廃校となりました。地域の方々は行政化の方針に従い、中学校が廃校になることに渋々同意することにしたのですが、その代わり現状のまま保存することを求めたのです。そして保存されたまま現在に至り、校舎としては初めて国登録有形文化財に指定されています。名称を杵原学校と変更し、地域に存在する学校として今も親しまれています。
杵原学校は観光地としても活用されていて、昔そのままの教室で授業体験を受けることができます。今回は二時間、授業を受けることができたのですが、懐かしくてとても楽しい体験でした。
最初の時限は杵原学校の歴史について学習しました。過疎化が進む地域の中学校が廃校になる決定がなされた時、地域の方々が「何とか形だけでも残しい欲しい」という要望を行政に伝え、行政はその要望を受け入れて保存してくれているのです。その結果、国登録有形文化財の指定を受け地元のシンボルとして、観光地として存在感が残り活用されています。最近は桜の名所として有名になり、春のシーズンには大勢の観光客が校庭の桜を見に来るようになっていると話してくれました。中学校は廃止されていますが、地域の核施設としての役割を果してくれています。
二限目は音楽の授業です。「富士の山」と「ふるさと」の二曲をピアノ演奏に合わせて歌いました。懐かしい足踏みオルガンの演奏で二曲を歌ったのですが、自治会の皆さんも懐かしさからか、とても大きな声で歌い上げたので感動的な声が教室に響きました。大人になって受ける授業は楽しいものだと思うのに十分な出来事です。観光に訪れるお客さんが授業を楽しんでいると聞きましたが、体験してみるとその通りでした。
また杵原学校のこの教室は映画「母べえ」の舞台で使用されています。山田洋次監督、吉永小百合主演で撮影された映画で、そのロケ地として飯田市の人気スポットになっているようです。映画のロケ地は観光名所になりますが、昔のままの姿の教室が保存されていたことから映画の撮影場所として選ばれたのです。撮影場所として使われたこの作ったものではない本物の教室が、映画の中でどんな風に表現されているのか気になるものです。
授業を終えた後、主演女優が立った教壇に立ってみました。同じ舞台に立つことができる体験は不思議な感じがしました。このことは観光地として考えさせられるものです。全てではありませんが、人は映画の撮影場所や有名人が訪れた場所の空気を楽しむことを求める傾向にあります。ロケ地になることはそれだけで観光名所になりますし、関心を惹くのに十分な効果があります。
奇しくも平成27年の大河ドラマに真田幸村が決定した報がありました。和歌山県内に撮影が入ると思いますから、観光施策に取り組むための仕掛けを今から考えるべきです。前回の大河ドラマ「吉宗」と時は和歌山マリーナシティ内に吉宗館を作り、和歌山城観光案内所に吉宗コーナーを設置したように記憶しています。和歌山県の観光施策としてチャンスですから、今日の体験を参考にして盛り上げたいと思います。
続いて原田泰治美術館を訪問しました。とても温かくて優しい絵画で、交流のあるさだまさしさんが名誉館長を務めています。昔の田園風景などを空から鳥瞰した作風が特徴です。もうひとつの特徴が、登場する人の顔に目や鼻が描かれていないことです。目や鼻、口などが描かれていないのに表情が分かる不思議な作品です。原田泰治と交流のある有名人が、「心に残る一枚の絵」という企画展が開催されていました。芸術家やタレントの感性の鋭さを感じることができました。