活動報告・レポート
2014年5月10日(土)
松山市
松山市

視察研修会を終えて宿舎から松山空港に向かいました。宿舎は大和屋でしたが、とてもおもてなしの雰囲気がありゆったりとした時間を過ごせました。廊下ですれ違った時、従業員さんは歩くのを止めて挨拶してくれます。そしてお客さんを先に通っていただいてから自分が歩き出します。急ぎの用事があったとしても、お客さんを優先している姿勢は素晴らしいと感じました。またお風呂の花、トイレの折鶴、部屋にお土産を置いてくれているなど気配りがありました。安心と信頼できる環境が溢れている旅館でした。

大和屋からタクシーに乗って松山空港に向かいました。伊予鉄タクシーに乗車したのですが、とても素晴らしい運転手さんで楽しい30分となりました。松山市内の観光案内をしながら走らせてくれたのですが、一般的な観光案内とは違う自分が好きだと思っている松山市の良いところを話してくれたのです。

松山市

松山市は道後温泉120周年と空海生誕1200年、瀬戸内海国立公園指定80周年、そして京都、広島、松山を結ぶ新ゴールデンルートによる観光キャンペーンなどの仕掛けをしています。行政が仕掛けるイベントと共に民間タクシーがとても親切に観光案内をしてくれるのです。大掛かりなキャンペーンも大事ですが、タクシーの運転手さん達による案内も小さなことですが大事なことだと感じました。夏目漱石が愛したといわれる松山市であり、今も路面電車が走っているのも松山市の魅力です。

最も感動したのは松山空港が近づいて来た時にタクシーの窓を開けて香りを感じさせてくれたことです。「お客さん、ここに来るとミカンの花の香りがしますから感じてみて下さい」と話してから窓を開けてくれたのです。その瞬間、甘いミカンの花の香りが車内に充満しました。ミカンの花の香りを楽しむことが、「こんなに幸せを満たしてくれるものなのか」と思いました。甘いミカンの花の香りは幸せ感があり、一気に松山市を好きにさせてくれるものでした。素敵な香りを提供してくれたタクシーは初めてです。これまでの中で最高のサービスに数えられる出来事でした。

そして空港に到着する寸前に、伊予ミカンをいただきました。「このミカンを食べてみて下さい。美味しいから」といっていただいたのですが、香りが良くて、本当に甘くて美味しいのです。タクシーの中でいただいたミカンを食べる経験も松山市で初めて体験したことです。このように言ってしまうと、誰でも簡単にできるおもてなしのように思いますが、真似のできないおもてなしだと思います。明るい人柄やそこに至るまでの会話の内容、そして快適な運転があってミカンの香りに辿り着くのです。感動までのストーリーがあるから素敵なのです。

空港までの30分の間にタクシーの中で味わった感動体験の余韻に浸り飛行機に乗り込むことになりました。視察の最後に観光都市としてお客さんをお迎えする精神を学べたからです。「おもてなしの方法」や「リピーターになってもらうためには」という研修がありますが、おもてなしはパターン化できるものではありません。人によっておもてなしの方法は違いますし、現場での咄嗟の行動や、温かい会話がおもてなしにつながるのです。演出のプロでない限り、パターン化されたものは感動につながることは少ないと思います。会話の中から生み出されるもてなしの心が、お客さんの感動につながるのです。

素敵な30分を過ごさせてくれた伊予鉄タクシーのN運転手に心から感謝申し上げます。松山市を好きになって帰ることができるのはN運転手の力です。旅館から松山空港まで同乗した二人も同じことを感じていると思います。

そう言えば昨日、愛媛県議会玉井議員から「愛媛県には愛がある」という言葉を聞かせてもらいました。確かに愛媛県には愛があります。愛という文字を毎日のように見ている県民の皆さんの心にも愛が宿っているように感じます。愛媛県をとても身近に感じることができた午前でした。お昼頃に伊丹空港に到着し、今回の視察の行程を終えました。