活動報告・レポート
2014年2月9日(日)
希望のかけはし

和歌山県教育委員会が作成した道徳読み物資料集「希望のかけはし」にフレッド和田勇さんが掲載されています。和歌山県出身で尊敬する人物です。昭和39年の東京オリンピック開催に尽くした人物で、先進国入りするためにわが国でオリンピック開催をすることが悲願だった夢を実現させた人なのです。

フレッド和田勇さんのドラマを読むと、いつも感動させられます。そんな和田さんの短編が和歌山県の中学生向けに授業で取り上げられることを知りました。

タイトルは「日本の人々に勇気と自信を」で、国家の発展に寄与した和田さんの行動を表したタイトルだと思います。日本の独立は昭和27年4月のサンフランシスコ講和条約を締結した時です。まだ67年前の歴史に過ぎません。余談ですが、昭和36年生まれの私が生まれるわずか9年前に日本国は独立をしているのです。当然、生まれてからずっと独立国家なのですが、その少し前までは国際社会では独立国家として看做されていなかったのです。ですから国際社会の一員として認められることは国家としての悲願だったと思いますし、何としても成し遂げるべき課題だったと思います。東京オリンピックは国際社会の一員となるために必要な現実であり、歴史に書き加えるべきイベントだったのです。

さて当時の日本は「アジアで初めてのオリンピックを東京で」をスローガンとして誘致活動を行っていました。当時はデトロイト、シドニー、ブリュッセルの三都市も立候補していて、東京は苦戦を強いられていました。

和田氏はオリンピック招致委員になり、「東京でオリンピックができるなら店はどうなってもいいと思っている。東京でオリンピックをやれば日本は大きくジャンプできるのや。中南米の委員が東京に投票してくれるように、全力を尽くすことが僕の使命やと思う」という台詞がありますが、ロサンゼルスで青果店を経営していた和田氏は自分の商売を犠牲にしても国家のために尽くそうとしたのです。

妻子と訪問したメキシコで「どうして、そこまでオリンピック開催に情熱を傾けるのですか」と質問されます。和田さんは「東京オリンピックの開催こそが、日本の人々に勇気と自信を与えると確信したからです。そのために微力を尽くすことは、日本を祖国にもつ我々の使命なんです」と答えています。

その後中南米を回り、支持を取り付けたフレッド和田勇さんのお陰で、昭和39年の東京オリンピック開催が決定しました。

東京オリンピック開催までのドラマにはいつも感動します。平成32年の東京オリンピック開催決定の隠されたドラマはあると思いますが、今回開催が決定した時、フレッド和田勇氏のドラマを思い出したことが蘇えりました。

どんな感動的な場面にも人のドラマが隠されています。人が行動することで夢は現実のものになるからです。行動なくしてドラマの感動もあり得ないのです。

残念ながらフレッド和田勇さんはこの世を去っていますが、祖国の道徳の資料で学ばれていることを知れば、きっと喜んでくれていると思います。その心は故郷の子ども達に受け継がれ、きっと勇気と自信を持って祖国を発展させようとする人を生み出すと思います。

昭和39年のドラマは今では歴史の1ページに過ぎませんが、日本人に誇りと自信を持たせ心を熱くさせたドラマだったと思います。日本で世界の舞台を作り、真に世界で戦うことを目指す契機になったと思います。スポーツ、文化、経済の世界で世界を相手として意識するようになったオリンピックだったように思っています。

平成32年の東京オリンピックの歴史的意味を、現代を生きる私達はどのような考えるべきなのでしょうか。再びの経済成長、世界に尊敬され続ける国、それとも世界のリーダーを自覚することを目指すのか。時代のテーマの議論は尽きませんが、楽しい作業です。

和歌山県教育委員会が、故郷の人を取り上げた道徳資料を作成してくれたことを嬉しく思いますし、学校で活用してくれることを望んでいます。

同じように小学生向けにも「心のとびら」という道徳読み物資料集が作成されたので、届けてくれました。