若い人との会話は楽しい一時になります。20歳代の時は将来の自分の姿は想像できませんし、希望もある代わりに不安も感じるものです。不安は安定していない時に発生する気持ちです。社会人になったとしても、修行中とも言える数年間は自分のポジションが見つかりません。キャリアを重ねると共に立つ位置は分かってくるのですが、自分の行く道を模索する期間が20歳代と思います。
「このままで良いのだろうかと不安があります。今の立場にいると、どこに自分の位置があるのかどうか分かりません」という話がありました。即戦力と看做される人を除き、新卒の入社数年間は見習い期間のようなものですから、すぐさま実績を上げることを期待されているものではありません。
自分で周囲の人と比較してしまうと、経験の差は歴然としていますから自信をなくすこともあります。しかし50歳代の人と20歳代の人との間には30年の経験の差がありますから、仕事が同じように進まないのは当然なのです。
また何も立場のない人がハイポジションを目指しても無理なことです。経験の浅い時代は立場のある相手が望むものを持ち合わせていないので、会話のストロークになりません。まず仕事を通じて経験を積むこと、同じ会社の先輩や上司との仕事を通じて成長することから始めなくてはなりません。一足飛びに企業の役員や経営者と話ができることはありません。焦らないでしっかりと実力を身に付けていく過程を経て、人は社会から要請を受けるようになります。
不安はあるとしても明るい未来は自分のいる場所に存在していますから、希望を持って自分の行く道を進んで欲しいと思います。
外国企業の意思決定の早さには驚きます。日本企業との違いは、仕事にスピードがあることと意思決定のスピードです。交渉は権限の持つ人が直接会って話し合うこともしばしばあります。権限を持たない人が何度集まって議論を交わしても、意思決定することはできません。日本企業に見られるように、担当者が打ち合わせを行った議事録を読んで疑問を呈したり、判断するには資料が足りないと言うよりも、権限者が相手と対峙すれば疑問は解決することが多いのです。
こんな事例があります。ある外国企業が日本企業と交渉を行いました。仮に起点を2月1日だとします。外国企業はそのプロジェクトはスピード感を持って着手したいと考えていました。ところが日本企業は案件を本社に持ち帰ることになりました。日本企業の意思決定は常務会を開き承認を得ることが必要ですが、常務会に諮るということは相当の資料作成や協議が必要となります。その過程を経ないことには企業の役員は相手との交渉の場に出てきません。
外国企業がプロジェクトに参画するのかどうかの催促をしたのですが、役員決裁まで待って欲しいという回答が続きました。そして3月31日になって役員決裁が降りたので、外国企業に「プロジェクトを進める」ことを回答しました。
そうしたところその外国企業は、組める相手と一緒に既にプロジェクトを進めていました。「もう三ヶ月も経過しています。御社にはパートナーを組む意思がないと判断してプロジェクトを進めています」と断られたのです。世界の競争市場で戦うためには、意思決定の遅さは致命的です。最初に話し合った時と三ヶ月が経過した後では市場環境は同じ状況ではなくなっています。
意思決定が遅い企業はどうしても後手に回ることになります。権利を押さえられていることや、先に市場参加している企業があれば、どうしても後手の立場となり当初計画していたような市場も利益も得られないのです。
外国企業から見ると日本企業はスピード感に欠けるので、世界市場で苦戦していると聞かせてくれました。市場を取るためには、仕事と意思決定のスピードが必要です。
- 子ども達に対してエネルギーに関する講義を行いました。日本は省資源国ですから、この先も繁栄を続けるためには安価で安定したエネルギーが必要であることを伝えました。
- 午後からは会議に参加しました。パーソナルコミュニケーションについての議論を交わしました。