シャンソンを愛する三人の方のグループ「EKK」によるシャンソンショーが開催されたので参加させていただきました。今年で結成3周年となる「EKK」のショーに大勢の方が集まり、会場のホテルグランヴィアは満員となりました。
午前11時30分から始まったショーは、三人のソロとグループの歌で盛り上げてくれました。秋から冬に掛けての季節はシャンソンがとても街並みに似合っています。今回はショーを通したテーマはありませんでしたが「別れ」が鍵になっていたように思います。別れイコール寂しさとなりますが、三人が揃うと別れにも意味があり、その後も人生は続いていくというメッセージを感じました。舞台の上で「シャンソンは出会いと別れを歌うものが多いのですが・・」というコメントがありましたが、人との出会いによって人生は深まるものだと思います。
ショーの合間に音響を担当していたプロの人と話したのですが、「三人は今日の日のために相当な練習をしていたと思いますよ」と話してくれましたし、同じくシャンソン歌手のMさんは「相当の練習をしてきたと思います。コンサートを終えてホッとしているのではないでしょうか」と話してくれました。一つの舞台を企画して練習を続け、そして公演に至るまでには大変な力を必要とします。芸能関係の仕事をしている皆さんはその苦労を体験しているので理解しています。
三人の師匠である歌の先生は「公演は大変なことが多いのです。皆さんに来てもらえるのは大変なことです」と話してくれましたが、そんな苦労を受け止めて実現させた「EKK」の三人に拍手を贈りたいと思います。
私は「EKK」が結成されてから三回のコンサートに全て参加しているのですが、練習を続けていることが分かります。練習を続けて舞台に立っている、舞台での姿と歌を聴いているとそれが分かります。人前で歌うことは簡単なことではありませんから、ここに立つための猛練習を続けていると思います。
シャンソンショーの途中、プロの音響の人と話をしたところ「年齢と共に声の質は変化して行きますがシャンソンは人生を歌う歌なので経験してきたことが表現できるようになると上手さが表れます」と意見がありました。歌の上手さとは表面的なものだけではなくて、これまで経験したことを決められた歌詞に込めて歌えることが上手さの要因だと思います。同じ歌を歌っても感じ方や伝わり方が違うのは、歌手の人生経験や思いの深さに関係していると思います。同じ歌詞なのに伝わり方が違うのが不思議なのはそのためです。
「EKK」の三人の硬さが解れてきた時に、ショータイムが終わりに近づいてきました。舞台の三人を見ていると「もう少し歌いたいと思っているようだ」と感じました。舞台の雰囲気に慣れてきた時に終わりを迎えます。緊張から適度な緊張へと変化し、そこから雰囲気に慣れてリラックスできて楽しめるようになると、終わりの時間が近づいてきます。だから余韻を残して終えられると同時に、次に向かう力になるのです。次は、この位置からスタートできると感じ、もっと良い舞台を作りたいと思うのが芸術家だと思います。
このようにシャンソンショーは、三人の個性が輝き温かい雰囲気で進行し、冬の合間の陽だまりのような暖かさを実現してくれました。終了後は、参加した皆さんと「良いコンサートでしたね」と自然に語り合えました。
「EKK」は、上野山英子さん、藤田和子さん、土井享子さんの三人がメンバーです。楽しく音楽活動をしていることが分かるシャンソンショーでした。これからも舞台活動を続けて欲しいと願っています。