福井県大飯町にある大飯発電所の見学を行いました。大飯発電所は平成25年の夏まで運転していた発電所で、現在は定期点検を行っていることからプラントは停止しています。原子力発電所の見学は警戒が厳重なため、発電所構内に入るには事前申請と当日の手続きが必要となっています。本日はエネルギー施策と安全対策について学ぶために見学に訪れたものです。大飯発電所では破砕帯が活断層か活断層でないのかが焦点でしたが、該当箇所を掘り調査した結果、13万年以上前からこの断層は活動していないことから活断層ではないと判断されました。そして津波対策として防潮堤のかさ上げを行い、津波にも備えています。必要な調査や対策を行っている段階で、早期稼動を目指していることころです。
現状の説明と安全対策、そして構内視察などを実施してくれたので最近の情勢と安全確保の取り組みなどの理解が深まりました。
福井県から帰った後、共栄塾主催の交流会に参加しました。約100人の異業種の皆さんが集まって意見交換を行える機会となりました。話題はたくさんありましたが、和歌山市長が何故、突然、この時期に今季限りで引退という表明を表したのかが不明です。発表している理由は強い理由でもなく、疑問に感じている人が多くいました。そして関心は平成26年度の予算を、引退の意思を表明している人が組むことは適切ではないという意見がありました。皆さんからそれぞれが思っている多くの意見を聞かせてもらいました。
また新聞記者の方々も参加していました。記事についての話を聞かせてもらいました。新聞記者は現場取材に行き、関係者の話を聞くことが大事な仕事です。取材した内容を10だとすると、実際に記事になるのはその内の2程度です。10のうちの2が記事になり、残りは記事になることはありません。折角取材しても全てを記事にすることはできないのです。ですから記事は事実ですが、事実の一部であり全体像は捉えにくくなることがあります。そして記者は取材からその事案の事実を知ることになりますが、真相は自分だけが知っているという事案も多々あることになります。
これは興味深い内容の話です。まず現場取材をしなければ記事を書くことはできません。2の事実を取材して2の記事にはならないのです。発言の裏付け、事実かどうかの確証、複数の証言などが必要だからです。そのため2の記事を書くためには10の取材が必要になるのです。必要な現場取材の内、2の取材をしただけでは記事として取り扱えないのです。
もし事実でなければ新聞社の信頼は失われますから、確かなものをだけを記事にしているのです。記者の方は多くの情報を掴んでいますが、その全てを曝すことはありません。書いてはいけないこともありますし、匿名性の高い事実もあります。10という事実から必要な素材を抜き出して記事という商品に仕上げていくのです。
その中で山崎豊子さんの話しに及びました。ある記者の方は司馬遼太郎さんと並ぶ作家だと話してくれました。作品は大作が多いのですが、一作品を発表するまでの期間は6年以上間隔が空いているということです。その間、取材に出掛けていたそうです。ノンフィクションですから現場の取材が生命であり、現場での聞き取りや確認によって文章として形になっていきます。そして作品の文字になるのは取材した10の内、2程度だと話してくれました。膨大な取材を行って約20パーセントの量が活字になるのです。記事を書く、作品を書くことは大変な仕事だと感じました。
現実においても同じことだと思います。現実の10の中で表面に出ているのは2程度です。世の中、現実のものになっている2の裏には、それを支えている8の裏があるのです。全てが公になってしまうと現実が現実でなくなる可能性があり、それは社会的に問題になりそうです。
記者の視点を通じて学ぶことがありました。感謝申し上げます。