活動報告・レポート
2013年11月19日(火)
がんセンター

和歌山県でのがんの死亡率は、平成23年の実績で全国ワースト2位です。問題は年々悪化していることと平均寿命の伸びが悪いことです。平成17年のデータですが、平均寿命は全国でワースト4位となっています。平均寿命に関しては1960年頃までは長かったことから全国でも長寿命県だったのですが、1960年を境に平均寿命は低下していき、とうとうワースト4位にまで落ち込んでいます。逆に福井県は1950年頃から平均寿命が延び始め全国有数の長寿命県になっています。

がんの原因として考えられることは、喫煙、健診の受診率、生活習慣があります。タバコは吸っている時は何もなくても、10年ほど経過すると発生することがありますから気をつけたいことです。また健診はCT受診と組み合せて受診することが効果的です。レントゲンで見つかった時は遅いことがあります。予防するために禁煙、健康診断の受診、生活習慣の改善が大切なことだといえます。

そしてがんになった場合は高度治療が効果的です。そのため和歌山県としてがんの予防と治療の中核として、和歌山県がんセンターの設立を考えたいです。採用するのは国産技術である重粒子施設となりますが、中規模の病院隣接型の場合、予算規模は100億円から150億円となります。

重粒子施設のある全国のがんセンターは、神奈川県立がんセンター、九州国際重粒子線がん治療センター、兵庫県立粒子線医療センターなどがあります。また大阪府では大阪府立成人病センターが平成29年度中に民設民営で開業を目指しています。

重粒子線治療は表面への影響は少なく、表面から10センチ程度の深さのところに照射することができます。高エネルギーX線は表面への照射量が多いことから正常な細胞も傷つけてしまうのに対して、重粒子線はエネルギーが高くがん細胞にだけ照射することが可能となります。そのため照射回数は少なくて済み、X線治療では困難だとされていたがんにも効果があるとされています。また照射回数が少ないことから副作用も少なく、現在考えられる放射線治療の中で最も効果が高いものだといえます。

和歌山県にこの施設があれば、がん死亡率ワースト2位の和歌山県から脱却できることになりますから、是非とも設置を求めたい施設です。和歌山県では「安心・安全の県」と言っていますが、がん死亡率や平均寿命の短さを示す統計からは、その理想の状態にはありません。

ところで平均寿命の長い県は、以前から現在に至るまで圧倒的に長野県となっています。健康診断の受診率や健康体操を推奨していることなど、対策と県民意識が高いことが理由として考えられます。和歌山県において健康診断の受診が低い理由は、自分はがんにならないと思っている人が多いようにも思います。多くの人は自分だけは大丈夫と思っていると思いますが、自分だけは、ということはありません。気をつけておきたいことです。

以上のような和歌山県内のがん対策について、がんセンターの必要性について、和歌山県立医科大学理事長、学長の板倉徹教授と意見交換を行いました。

改めてがんの原因特定が困難であるけれど、禁煙と健康診断受診、生活習慣の改善から予防できることを学び、そして重粒子施設のあるがん治療センターを設置することで高度治療を行えるとがん死亡率が低下することになります。これらの対策を組み合わせて和歌山県の安心と安全を確保したいものです。

その後、福井県に移動し、放射線の平和利用について学ぶため、エルガイアおおいの見学を行いました。放射線は医療やエネルギーなどの分野で人類の役に立っています。明日は大飯発電所の見学を予定しています。