活動報告・レポート
2013年11月8日(金)
特別委員会視察三日目
特別委員会視察三日目

早いもので特別委員会の視察も最終日になりました。東京に入り都道府県会館でふたつの講義を受けました。最初は東京大学大森名誉教授から、続いて内閣府防災担当付参事官付参事官補佐の加藤隆佳さんから説明を受けました。

大森名誉教授からは「災害時の危機管理に対する議会の対応について」の講義をいただきました。

憲法誕生のことから話が始まりました。当初GHQの草案には、地方の条文は都道府県と市町村と書かれていました。ところが政府がそれを削除してもらい、変わりに地方公共団体という言葉が入りました。地方が都道府県と市町村に限定されると不都合だったからです。

併せて知事は直接公選制にすることが書かれましたが、これは最大の改正のひとつになるものです。政府はこれに反対し、国から派遣した知事にするよう求めましたが、これは却下されました。都道府県が自立した自治を行えるように改正したのですが、日本政府は、せめて国の仕事をしてもらうようにしたいと考え、都道府県でも国の仕事を担ってもらえるようにしたのです。それが評判の良くなかった機関委任事務体制です。国の省庁からの通達によって地方を縛ることになったのです。

現在、機関委任事務は廃止されていますが、当時、機関委任事務の廃止に際して分掌改革は最大の争点となりました。

もうひとつが各地域に国の出先機関を設置したことがあります。これによって国が地方を配下に置くことにしたのです。国からすると地方を掌握しておくことはとても大事なことだからです。それが現在も続いていて、地方は国の支配下に置かれているのです。

ここまでが憲法における地方自治の前提です。

地方は二元代表制を取っています。都道府県の場合、知事と議会は別個に県民の皆さんから選ばれている存在で共に独立しています。そして県民の皆さんに対して責任を取る立場であることが共通しています。つまり共に代表機関と位置づけられています。

知事も議会も代表機関ですが、それぞれ権限内容によって役割を持たせています。知事は執行機関としての首長の役割。議会は議決機関としての役割を持たせているのです。これは法律になっているものです。そのため議会は執行の過程に入るべきではないとされています。だから災害対策基本法に基づいて議会の代表を災害対策本部に入れることは困難です。これを突破するには二元代表制であるけれど、大災害発生時にはこの二の機能を融合すべきであると言えなければなりません。危機に際して迅速な対応、迅速な意思決定が求められるので、即決できるように、議会も災害対策本部に入ることを求めることはできる可能性があります。

大災害発生時は知事と議会は利益相反関係にならないと思われるため、知事が災害対策本部委員長に、県議会を代表して議長が副委員長に就任することは決して不可能ではありません。ただ議会が待っていても、決してこのような関係にはなりません。執行機関は議会を委員会に入れたくないのですから。そこで大災害に際しての災害対策本部体制については、議員から自らの役割を求めることの進言が求められます。

災害対策本部に議会代表として議長が入ることも考えるべき課題です。

そして大災害発生時において、議員は勝手バラバラに動いてはいけません。議会からの情報や要望の一元化を図らなければ災害対策本部が困るからです。議会が災害対策本部に対して持ち込む内容は、一定のルールに基づいたものであることが必要です。

戻りますが、地方自治法には議会があるだけで議員の役割は示されていません。そのため議会基本条例を定めることによって、大災害発生時の議員の役割をここに書き入れることも考えたいことです。議員は1年365日、昼夜を問わないで働いています。そのことは評価されるべきですし、日常の活動として、そして大災害発生時の役割として知ってもらうべきです。

大森名誉教授の講義では、議員が活動するに際して法律の中にその根拠を求めることが大事なことだと教えてくれました。条文に根拠は書かれていませんから、そこから解釈することや、緊急時の役割として認めさせる論拠が必要だというものです。議員としての活動は日常から行っていますが、大災害発生時はここの活動よりも議会としての役割を果たすことが求められます。その役割を示す根拠をつけて、議会の存在意義を見出すことが必要です。そのことは議会の役割です。