石炭火力発電所の広報施設であるエル・マール まいづるを訪ねました。船舶をPR館にしている珍しいスタイルのPR館です。館内は舞鶴市や船の歴史、そして人類とエネルギーとの関わりについて学ぶことができました。
人類の進歩とエネルギーの発見は密接に関係していて、人類が火を手に入れた時から進歩が始まったという話です。火を扱いやすいエネルギーに変換させ、現代文明は電気という姿に進化させて更に発展させています。人類の発展はエネルギーと共存していくものであり、扱い易くて将来的にもなくてはならないものです。
人類とエネルギーの歴史と将来について考える契機となりました。
続いてエル・ガイア おおいを訪れました。ここはエネルギーと原子力発電について学習できる施設です。大飯町には大飯発電所があり原子力と共存している町なので、原子力に関して学習する施設が存在しています。この施設もそのひとつで、発電所のある町として町全体がエネルギー問題に取り組んでいる様子が分かるものです。発電所がない市や町とエネルギーへの関心の持ち方が違うように感じました。
電気は自然にあるものではなく、また無限のエネルギーではないので人間が作り出し、将来に向けて作り出す必要性を町全体で考えようとしています。電気を作っている町の覚悟と学習姿勢を知ることができました。
京都舞鶴港を視察しました。京都舞鶴港は主に北アジアとの貿易港として大きな役割を果たしています。ロシアのボストチヌイやナホトカとの距離は840km、韓国の釜山までは615kmなど、現在定期船が就航している小樽港よりも近い距離の都市があります。小樽港と舞鶴港との距離は1,140kmなので、それよりも近いことが北アジアの国との貿易に有利に働いているのです。
京都舞鶴港の取り扱い貨物は近年増えています。特に平成22年度からは毎年過去最高を更新しています。それは舞鶴火力発電所で使用される石炭の輸入量が増えているからです。石炭は主にオーストラリアやインドネシア、中国から輸入していますが、原子力発電所の稼動が停止して以降、輸入量は増加していることが分かります。平成24年度の全体の輸入量は5,099千トン、輸出はロシアへの中古車などで257千トンとなっています。
そして平成23年11月に舞鶴港は、日本海側拠点港として選定されています。この目的は中国、韓国、そしてロシアなど日本海周辺の対岸諸国の経済発展をわが国の成長に取り込みを図り、日本海側港湾全体の国際競争力を強化し、日本海側の経済発展に寄与することを目指すものです。
また東日本大震災を踏まえて、太平洋側港湾の代替機能の確保を図り、災害に強い物流ネットワークを構築し防災機能の確保を図ることも目的にしています。
説明を聞いた後、実際に舞鶴港湾の見学を行いました。特に国際ふ頭は大規模な港湾であり、係船柱の新設工事を計画しています。これは平成26年度にクルーズ船ダイヤモンドプリンセスなどの大型船舶の停泊を可能にするためです。
また物流港湾としての機能向上を図るためにも国際海上コンテナターミナルの整備計画が進められています。コンテナ船の大型化と阪神港とのリダンダンシーの確保に対応するため岸壁を50メートル延伸させ、阪神港と同等の能力を有するガントリークレーン1基を増設する計画です。ガントリークレーンは大型の物流を扱うために必ず必要なクレーンで、新品1基の価格は約10億円だそうです。しかしこのクレーンがなければ物流港湾としての機能が果たせませんから、どうしても先行投資が必要となります。物流が生じれば設置する姿勢では将来はありません。事業は自分が何もしないで市場拡大を待つのではなくて、まず投資から始まります。
ただ将来予測が難しいのは港湾の相手は外国であるため世界情勢、世界経済によって毎年の取り扱い高が大きく変化します。投資に見合った成果が得られるかどうか、世界経済の予測は困難なので確実性は見込めません。国や府の予算措置が難しいのは、世界経済の予測が見通せないことも一因です。
京都府港湾事務所を訪問し、港湾の現状と将来予測について学ぶことができました。