活動報告・レポート
2013年8月31日(土)
和歌山市について

大阪生まれで現在、和歌山市で暮らしている方との会話です。「大阪市から和歌山市までは近いのに遠く感じるのは何故だろう」という話から始まりました。和歌山市が遠いというよりも大阪府の南部地域が大阪市内から遠いと感じているようです。その遠い大阪府南部の先にあるのが和歌山市ですから、感覚的に遠く感じるようです。

「和歌山市の人口が減少しているのはどうしてですか」。

「和歌山市の最盛期は42万人の人口がありましたが、現在は36万6千人です。大きく減少していますし、将来とも減少に向かうという予測があります。人口予測は確かなもので確かな未来を示していますから近未来は予測できるのです。

さて人口が減少している最大の原因は製造業を初めとする働く場所が少ないことに尽きます。某電機メーカーの工場には2,500人の方が働いています。全ての人が結婚して子どもがいる訳ではありませんが、2,500人を2倍か3倍すると7,000人位になります。同じような大きな企業が和歌山市にありますが、ここで働く人も数千人いますから大きな企業で働く人と家族だけで市内の10パーセントか20パーセントの比率を占めていると思います。

製造業、特に基幹産業が立地していると裾野が広がるので定住人口は安定し、また現役世代なので人口は増えることになります。全国規模の製造業が少ないことが人口減少の原因だと考えています。滋賀県の人口は140万人を超え奈良県の人口を抜きました。滋賀県の人口増加の原因は、製造業を初めとする企業立地や大学の誘致に成功したことです。

ですから人口を増加に向かわせるためには製造業などの企業誘致が必要な対策です」。

「観光はどうですか」

「和歌山市に限定すると、観光だけで生きていける要素は少ないと思います。和歌山城や和歌の浦、加太、和歌山マリーナシティなど観光資源はありますが、リピーターを何度も引っ張ってくるだけの大きな力に欠けるように思います。それは大手旅行会社の商品の定番商品になっていないことから明らかです。東京や大阪からの和歌山市行きのツアー商品はないと思います。北海道や東北からのツアー商品もないと思います。ツアー商品になっていない現実が和歌山市の観光なのです。和歌山県全体に拡大すると白浜や那智勝浦、高野山、熊野古道などの観光資源がありますから、これらはツアー商品になっています。全国からお客さんを呼びこめる観光資源は和歌山県の南部にありますから、観光産業でお金を生み出すのは和歌山県の南の地域になると思います。和歌山市だけで観光産業で自立するのは結構難しいことだと認識しています」。

「イオンができると期待できますか」

「ふじと台にイオンの建設が進んでいます。イオン泉南ショッピングセンターと同規模のイオンになると聞いているので、多くのお客さんを集客すると思います。和歌山市にとっては良いことですが、中心市街地に人が集まる対策を講じなければ、和歌山市としては如何かなと思います。人口減少や高齢社会、現役世代が減少している現状からすると行政コストを肥大化させるよりもコンパクトシティを目指すべきだからです。市が拡大していくに伴って道路や下水などの都市インフラが必要となり、行政コストが増大して行きます。しかし中心市街地のインフラが老朽化していくことから維持コストも必要となり、人口減少にも関わらず行政コストが増加していくことになります。

賑わいの創出は大事ことで進出は歓迎ですが、中核市として機能を果たすためのバランスが必要です」。